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うっかりセフレになった私たちですが、クールなエリート同期の独占欲が止まりません! 3

第三話

 

「お待たせ」
「お、おかえりなさい!」
 背筋を伸ばしてソファに座っている私の隣に腰かけると、染谷くんはクスッと笑った。
「大丈夫か?」
「うん……。なんかすごい緊張してきちゃって」
「そっちから大胆に誘ってきたのにな」
「え?」
 ちょっぴり拍子抜けしたような染谷くんに私の頭の中はクエスチョンマークでいっぱいになる。
 私が染谷くんを大胆に誘うような展開に思い当たる節がない。食事に誘ってきたのも、部屋に誘ってきたのも染谷くんの方だし、私からではない。
「あの、染谷く――」
 どういうことなのか聞こうと彼の顔を覗き込んだと同時に目が合って、思わず息を飲んだ。
 そこにいたのは、私が知る染谷くんではなかった。
 会社でこんな顔をする彼を見たことは一度もない。今、私の目の前にいる染谷くんは、まるで愛しい人を見つめるような熱を孕んだ眼差しを私に向けている。
「清水……」
 瞼をわずかに伏せて物欲しそうな低い声で名前を呼ばれて、体が急激に熱を帯びる。
 彼は私の手を取りベッドへと導く。大きくて骨っぽい手は熱く、私の体にまでその熱が伝わってきてクラクラしてしまう。
 部屋の奥にある寝室のキングサイズのベッドに腰かけると、ゆっくりと肩を押されて仰向けに倒された。途端、心臓が早鐘を打つ。
「本当にいいのか?」
「うん」
 決心したように答えると、染谷くんの喉仏がゴクリと上下する。
 ここまできて逃げ出すつもりはなかった。五年間、片想いをしていた染谷くんに抱いてもらえるなんて、これ以上の喜びはない。
 ただひとつ心配なことといえば、私が不感症だということだ。元カレとそういう行為に及んだ時、私の体はぴくりとも反応を示さなかった。
 今回もそんなことになってしまったらどうしようという不安が募る。
『なんの反応もしないつまんねぇ女、お前が初めてだから!』という元カレの台詞が頭を過る。
 染谷くんにだけはそんな風に思われたくない。
 さすがに演技をすべきだろうかとそんなことを考えていると、「清水、こっち見て」と頬を撫でられた。
 頬に触れる大きな手のひらが心地よくて、つい陶酔したように彼を見上げる。電気の消されたベッドサイドは薄暗く、月明かりが彼の美しい顔を優しく照らし出す。
「嫌なことは絶対しない。約束する」
「うん」
 染谷くんはそう言うと、ゆっくりと私の顔に自身の顔を近付けてきた。
 てっきりキスをされると思ってドキドキしながら目を瞑るも、彼は私の体を抱きすくめながら首筋に顔を埋めた。チュッチュッと首筋にキスを落とされただけなのに、体が震えるほどに興奮していた。
 くすぐったさなのか気持ち良さなのかよくわからないけれど、吐息が漏れそうになりとっさに手で口を押さえる。唇で首筋を食まれたかと思うと、今度はぬるっと生暖かいなにかが触れた。
「あっ……」
 ぞくっとして思わず声を漏らすと、首筋に染谷くんの「はぁっ」という熱い吐息を感じた。
「首、好きなのか?」
「分からないよ……。そんなところ、舐められたことないから」
「……他は舐められたことあるってことか。じゃあ、いい。全部、他の男に舐められたところ俺で上書きする」
 染谷くんは何故か少し苛立ったように言う。再び首筋を舐められると、もどかしさについ両膝を擦り合わせてしまった。
「他の男の跡、消えた?」
 囁かれて、首筋に舌を這わせながらバスローブ越しに染谷くんの手のひらが私の胸に触れた。
「……はぁっ、やばっ」
 瞬間、染谷くんがフリーズしたように静止して吐息交じりに唸った。
 その声にはたと我に返る。
 もしや、バスローブの下に下着をつけるべきだった……?
 経験の少ない私はどれが正解なのか分からなかった。
 食事の後に染谷くんとこんなことになるなんて考えてもいなかったし、事前に調べる余裕もなかった。
 最悪なことに、私は捨てるタイミングを失った少しくたびれた下着をつけていた。それを彼に晒すわけにはいかず、腹を決めてどうせ脱ぐならばと素肌にバスローブを羽織ったのだった。
「私、おかしなことしてた……?」
 余裕を失い、つい経験の少なさを露呈するような質問を投げかけてしまう。
「いや、違う。心の準備をする前だったから」
「心の……準備? そっか、男性にはそういうものがあるんだね」
 私にはよく分からないけれど男性も女性に触れるときに、そういう心構えをするものなんだろうか。
 染谷くんの呼吸が一気に荒くなる。手のひらで押し揉まれるようにされると、体中に愉悦を感じて、胸の頂きが立ち上がるのが自分でも分かった。
 バスローブの紐を解かれると胸が露わになり、染谷くんは釘付けになりながら「はぁっ……綺麗すぎる」と熱い吐息交じりに漏らした。
「やっ、見ないで……」
 急に恥ずかしくなってきて手で胸を隠すと、「ダメ。全部見せて」と手首を掴まれてシーツに縫い留められてしまう。
 右手で胸を揉みながら、染谷くんは甘く囁く。
「すごっ。清水、着痩せするんだな。手のひらに収まりきらない」
「やぁっ……」
「興奮してやばい。こんなピンク色なの反則だろ」
 普段は知的でクールで冷静沈着な染谷くんはすっかり語彙力を失ってしまったみたいに「やばい」と繰り返す。
 そして、とろんっとした瞳でまるで吸い寄せられるように、ツンッと隆起した胸の先端をひと思いに口に含んだ。
「あんっ……」
 口に含みながら貪るように舌を絡みつけられてたまらず甘ったるい声を漏らす。
 枕からほんのわずかに顔を持ち上げると、私の視界には染谷くんの顔がドアップで映し出される。
 五年間片想いをしていた染谷くんが私の胸の蕾にむしゃぶりついているという光景は身震いしてしまうほどの快感を私にもたらす。まるで飴玉を溶かすみたいに口の中でゆっくりと転がされると、あまりの心地よさに蕩けそうになる。
「ああっ……あっ……」
 自然と息が荒くなり、抑えようとしても声が漏れてしまう。
 不感症だと思っていたのに、どうして……!?
 これはいったいどういうことなのだろうと、私の頭の中はプチパニック状態だった。
 こんな感覚を与えられたのは、生まれて初めての経験だった。
 元カレに抱かれた時は、こんな風に全身がゾクゾクして見悶えそうになる感覚なんて味わったことがなかった。
 どこに触れられてもなにも感じず、挿入したのかどうかも分からぬまま気が付くと終わっていた。
 セックスなんてこんなものかと失望していたが、相手によってこんなにも違うものなのだろうか。
 それとも、染谷くんが相当なテクニシャンだったり……。何事もそつなくこなしてしまう彼だし、セックスまでも得意な可能性は大いにありえる。
 だったら私、これ以上のことをされたらいったいどうなってしまうんだろう……。
「染谷……く……んっ」
 もはや手で胸を隠す余裕が私にはないと悟ったのか、染谷くんは私の手首を解放した。
 右の胸をしゃぶりながら、左の頂きを指先で優しく弾かれたからたまらない。
 下半身の奥が熱くなり、身をよじって膝を擦り合わせると、太ももにゴリッと固く大きななにかが触れた。それは、熱を帯びて滾った彼の雄の象徴だった。
「はぁ……はぁ……」
 彼の荒い呼吸がすっかり立ち上がった私の胸の頂きにかかる。上目遣いに私を見上げる色っぽいその表情に鼻血が出そうなほど興奮する。先程まで彼の舌に舐め回されていた頂きは、唾液にまみれてテカテカと光りを放つ。視覚を刺激されて興奮が一気に高まる。
「気持ちいい?」
 恥ずかしくなりながらもこくこくと頷くと、染谷くんは「可愛い」と言って微笑んだ。
「……っ!」
 彼の言葉は私の心臓のど真ん中を的確に撃ち抜いた。
 好きな人にセックス中に「可愛い」と言われるその破壊力は想像以上だった。ひとりだったら今ごろ飛び跳ねて叫んでいるだろう。
「可愛い……?」
 あわよくばもう一度その言葉を聞かせて欲しいという願いも込めて復唱してしまう。
「めちゃくちゃ可愛い。可愛すぎてやばい」
 染谷くんは隣に横向きに寝転んで、私の体を抱き締めた。まるで恋人に向けるような熱い視線を向けて、労うように髪を撫でつけながらおでこにそっとキスを落とす。
 チュッチュッと愛おしそうに短いキスをするものの、染谷くんは頑なに私の唇にキスをしない。
 そうされることで、私と彼がただの同期で、それ以上でもそれ以下でもない関係だと一線を引かれているような気がしてくる。
 なのに、なぜか彼からの深い愛情のようなものを感じる。まるで宝物を扱うように丁寧に私に触れてくるから勘違いしてしまいそうになるのかもしれない。
 今までも、彼は女性をこんな風に丁寧に抱いてきたのだろうか。
 ほぼ経験のない私をこんな風に昂らせてしまうなんて、染谷くんはすごい。
 彼はモテるし、私が想像するよりもずっと経験が豊富なのかもしれない。彼が他の女性を抱いたのだと考えると、どうしても嫉妬心が湧き上がる。
 私は経験に乏しいし、こういう時に女性側がどう振る舞えばいいのか分からない。けれど、ずっと染谷くんに任せておくのはいかがなものだろうか。
 元カレには『つまんねぇ女』という烙印を押されたけれど、染谷くんにだけはそんな風に思われたくない。
 私はおずおずと染谷くんの下半身に手を伸ばした。すると、バスローブの布越しに熱く固いものに手が触れた。
「……っ」
 瞬間、染谷くんがわずかな吐息を漏らした。
 視線を下げると、巨大で猛々しいものがバスローブを押し上げていた。
 彼が私を女性として意識して興奮してくれていることに、胸が震えて喜びが込み上げてくる。ごくりと唾を飲み込んでもう一度布越しに彼の屹立に触れてみると、今度は温かな体温を感じた。
 こんな風に男性器に触れるのは初めてだった。そっと手のひらで包んで、痛みがないように注意しながらゆっくりと優しく上下に擦る。
「清水っ……」
 染谷くんは吐息交じりに私の名前を呼んで、ギュッと体を抱き締めた。私の首筋に顔を埋めてふぅふぅと荒い呼吸を繰り返す。
 手の中の屹立がさらに固くなった気がする。とはいえ、抱き締められている状況で手を動かすのは難しい。仕方なく逆手にしてほんの少しだけ手のスピードを速めると「くっ」と染谷くんが喘いだ。
 自分の手で染谷くんが気持ち良くなっていると思うと、私まで嬉しくて興奮してくるから不思議だ。
 もっと染谷くんを気持ち良くしてあげたい。
 直接触りたいとバスローブの中に手を伸ばそうとするも、うまくいかない。
 すると、染谷くんが「もういい。今度は俺が清水を気持ち良くする番だ」と私のバスローブを剥ぎ取った。
 背中にひんやりとしたシーツの感触を覚える。一糸まとわぬ姿になった私の下半身に染谷くんが手を伸ばす。
 少しひんやりとした指先が太ももの間に伸びてきて、つい足を閉じてしまう。
 いくら室内が薄暗いとはいえ染谷くんに体を……普段ならば絶対に晒すことのない部分を見せるのが恥ずかしい。
 すると、染谷くんはぐっと私の太ももを押し広げて足の間に素早く体を滑り込ませた。
「ま、待って」
「すごっ……」
 染谷くんは感嘆したように呟いて息を飲む。開かれた足の間に彼の視線を感じて恥ずかしくてたまらない。
「……綺麗だ」
 溜息交じりの悩ましげな声を上げ、割れ目をゆっくりと指で上下に擦られる。
「あぁっ……」
 指の腹で丁寧になぞられると、腰が震えそうなぐらい気持ちがいい。目をつぶってその愉悦に必死に抗っていると、クチュッという水音が響いた。
「すごっ……どんどん溢れてくる……。はぁ、もう無理だ……」
 染谷くんはそう漏らすと、私の足をググッと押し広げた。
「えっ……なに……っ」
 そして、私の言葉に答えることなく、足の間に顔を突っ込んだ。
「あああっ!」
 割れ目をヌルリとしたものでなぞられた瞬間、自然と腰が跳ねた。それが染谷くんの舌だと気付き一気に羞恥心が込み上げる。
「そんなところ舐めちゃダメだよっ……。汚い……からっ」
「清水に汚いところなんてない」
「でも……」
 さらに深い部分を愛撫しようとしてか、指先でくぱっと割れ目を開かれてしまいとても冷静ではいられない。
「ああ、マジで最高なんだけど……。頭の中爆発しそうだ」
 言い終わると、染谷くんの舌先が一番敏感な部分に触れた。
「ああっ、そこっ、ダメッ……!」
 快感が突き抜けてたまらず嬌声を上げる。花芯を舌先で舐られると蕩けそうなほど気持ちいい。
 足を大きく押し広げられる恥ずかしい恰好で不浄の場所を舐められている。羞恥と背徳感を覚えながらも、その分快感は大きくなっていく。
 ピチャピチャッという水音が室内に響く。私から出ているのか、それとも染谷くんの唾液でなのか分からない。恐らくその両方だろう。
 染谷くんは花芽を執拗に舐め回して優しく吸い上げ、余すことなく溢れた蜜を舐め取る。荒い呼吸から彼の興奮がダイレクトに伝わってくる。
「甘すぎ……。ああ、マジでたまらない。さっきまで小さかったのに、清水のここすごい勃起してる。ヒクヒクしてるのわかるか?」
「わかんないっ……」
 うっとりした声で言われて恥ずかしくてたまらないのに、彼が私の体の反応を喜んでくれていることがなによりも嬉しい。
 先程まで彼に愛でられていた部分がジンジンと熱を帯びているのが分かる。
 続けざまに、今度は溢れた蜜を指の腹で掬い取り、濡れそぼったぬかるみにゆっくりと挿し込んだ。そろそろと挿入された指は浅瀬をゆっくりと行き来する。
「……っ」
 つい足に力がこもると、染谷くんは動きを止めた。
「痛いか?」
「ううん、大丈夫……」
「つらかったら言って」
「ありがとう」
 すらりと長い彼の指が徐々に私のナカへと進んでいく。
 ああ、綺麗なあの指が私の中に……。
 特に手や指のフェチではないのに、上品さのある綺麗な指と血管の浮き出る彼の手の甲にいつも胸を高鳴らせていた。
 彼は一気に指を押し進めるようなことはしなかった。私の反応を見ながら痛みがないようにと気遣いつつゆっくりと指を奥へ進める。
 時間をかけて慣らしてもらっていたお陰で痛みもなく私は彼の指を呑み込んだ。
 彼はすぐに抽送することなく、指の腹でなにかを探るように奥をまさぐる。すると、腹側のある部分に触れた瞬間、ビクンッと体が震えて「んんっ」と声が漏れた。
「ここ、か」
 染谷くんはその部分を的確に刺激する。くちゅくちゅという淫靡な音が聞こえてきて、羞恥に身をよじる。
「そこ……なんか変っ……」
 指を動かされるたびに淫らな音が鼓膜を震わせる。染谷くんにとてつもなくいやらしいことをされているという実感が募る。
 とても正気でいられず腰を引こうとするも、反対の指でいまだに熱を帯びた肉芽を擦られて「あぁ!」と思わずのけぞる。
「これ、気持ちいい?」
「うんっ、でも……恥ずかしい。声が出ちゃう……」
「我慢しないで。清水の可愛い声、もっと聞かせてくれ」
 自ら口元を塞ごうとした私の手に自身の指を絡めてギュッと握りしめる。そうされるとなんだか染谷くんに大切にされているように感じて、満ち足りた気分になる。
 激しく出し入れされているわけではなく、手首を器用に使い指の腹でトントンッと膣内の上壁を刺激されているだけなのにたまらなく気持ちがいい。全神経が彼の指に集中する。
「あぁっ……!」
「すごい……。清水のここ、俺の指に絡みついてくる」
 嬉々とした表情の染谷くんを見ると、愛おしさに胸が苦しくなる。急激にせり上がってくる快感を堪えるために身をよじれば、自然と膣内の指をさらに強く締め付けてしまった。
「ああっ、もうっ……ダメッ……」
 頭の中が真っ白になり腰がガクガクと痙攣する。すると、ずるりと指が引き抜かれた。指からはポタポタと蜜が滴り落ち、シーツを濡らす。
「ごめん、俺ももう限界だ」
 染谷くんはじれったそうにバスローブを脱ぎ、ベッドの下に放り投げた。
 彼の全身は想像よりもずっと筋肉質で鍛えられていた。とはいえムキムキではなく、しなやかで健康的な筋肉のつき方だ。インテリ然とした顔つきと引き締まった体のギャップに頭の中がバグを起こしそうになる。
 さらに驚かされたのは、引き締まった太ももの間で主張する巨大な雄の象徴だった。天を向くように反り返った屹立はもはや芸術的で美しさすら感じる。
 染谷くんは手早く避妊具を取り付けると、巨大なそれを蜜口に当てがった。
「入れるぞ」
「……うん」
 染谷くんはそっと私のおでこにキスをした後、丸い鈴口で溢れた蜜を掬い滑りを良くすると、グッと腰に力を込めた。ゆっくりと慎重に彼が私の中に入ってくる。
 経験があるのかどうか自分でも不明だが、下半身に今まで感じたことのないとてつもない圧迫感を覚えた。
 元カレと染谷くんのサイズの違いなのだろうか。
 そもそもあのとき、私はただ寝転んで身を任せていただけで、元カレのモノを見ていない。しばらくすると元カレが顔を顰めて『あれっ……』『クソッ、なんでだ?』とぼやき始めてなんとなく事は終わっていた。
 初めては痛いというけれど、そんな感想もないぐらいあっという間の出来事だった。
 ……もしかしてあのとき、ちゃんとデキていなかったんじゃ……?
 なんの反応も示さない私に元カレの下半身が萎えたのか、それとも私の下半身がカラカラに乾いていてうまく入れられなかったのか。
 今となっては確認のしようもないけれど、うまく入れられなくて焦っていたと考えると納得がいく。
 ということは、私は……まだ処女?
 こんなタイミングで自身が未経験であると確信を持ってしまった。私はおずおずと染谷くんに尋ねる。
「……あの染谷くんっ、もう入った……?」
「いや、まだ先だけ」
 染谷くんは荒い息遣いでふぅふぅ言いながら、申し訳なさそうに言う。
「う、嘘……」
「痛い?」
「痛いっていうか……苦しい感じかな……。染谷くんのが大きいから」
 しっかりと長い時間ナカを解してたっぷり濡らしてくれたお陰で痛みはない。ただ、先程の指とはとても比べ物にならないほどの圧迫感があった。
 すると、私のナカで彼の屹立がビクッと震えた。
「くっ、こっちは必死なのに、そんな可愛いこと言って煽らないでくれ」
「え?」
 染谷くんはぶるりとわずかに体を震わせてなにかを堪えるように必死に奥歯を噛みしめる。
 余裕がなさそうな染谷くんの表情に愛おしい気持ちが込み上げてきて、つい魅入ってしまう。
 それでも染谷くんはひと思いに貫くようなことはせず、何度も「大丈夫か?」と私に痛みがないかを確認しながら自身を押し進めていく。その間、彼は私の手をギュッと握りしめてくれていた。そうされると、不安がまぎれて染谷くんに任せれば大丈夫だと安心することができた。
「……全部、清水のナカに入った」
 私の体を抱き締め、おでこにキスを落としたあと耳元で熱っぽく囁かれる。
「本当に……?」
「ああ。つらいか?」
「ううん、平気」
 私も彼の体に腕を回す。
 彼の背中はわずかに汗ばんでいた。体中に感じる彼の体温。首元からは甘いムスクのような匂いがして、心地よさに包まれる。
 なんて幸せな時間なんだろう……。
 しばらく余韻に浸るように抱き締め合ったあと、彼はゆっくりと抽送をはじめる。
 染谷くんはきっと、こういうことに慣れているんだろう。ガツガツと性急に自身の欲望を満たそうとはせず、大人の男性ならではの余裕を感じさせる。
 経験豊富ということは、他の女の子ともこんなことを……。
 想像しただけでも胸がチリッと焼けたように重苦しくなる。
「あっ……」
 浅瀬を行き来されているうちに、違和感はすでになくなっていた。彼が腰を動かすたびに、くちゅくちゅと互いが擦れて淫靡な音が響く。
 触れなくともたっぷりと濡れているのが分かる。
 熱塊に隘路を広げられ、痺れるような快感がせり上がってくる。
「んっ……」
 染谷くんは腰を振りながら、私の反応をしっかりとうかがうように熱い眼差しを向けてくる。こちらを見下ろす漆黒の瞳に惹き込まれる。下から見上げる染谷くんの顔は色っぽくて、雄としての力強さを感じてドキドキしてしまう。
「あっ……んんっ……ああぁっ」
 顔を歪めて喘いでいるはしたない姿を見られてたまらなく恥ずかしいのに、目を逸らしたくなかった。
「あんっ……あぁっ……」
 見つめ合っていると、染谷くんとセックスしていると実感できる。
 すると、彼は角度を変えて深さを調整するように、私の腹の上部を擦りあげるように突き上げ始めた。
「ああっ……染谷……くんっ……!」
 最奥に彼が到達するのを感じて、身をのけぞらせる。
「清水……っ」
 互いの名前を呼び合う。
 ずっと片想いを続けていた彼とひとつになれた。
 喜びが込み上げてきて、じわりと目頭が熱くなる。
 私の反応で痛みがないと察した染谷くんは、腰を振りながら肉核を指で擦った。
「あぁっ……それ、ダメッ……あぁっ!」
 今まで感じたことのない深い愉悦の波が押し寄せてきて、無我夢中で染谷くんの体にしがみつく。
「ああっ……!」
 最奥を深く貫かれるたびに、甘ったるい声を上げてしまう。染谷くんは私をもっと高みへ昇らせようと一心不乱に膣奥を穿ち続ける。
「染谷くんっ! 私……もうっ……」
 これ以上の快感を与え続けられたらおかしくなってしまう。息も絶え絶えになりながら叫ぶように喘ぐと、彼は切なげに私を見つめて顔を近付けた。
「……清水っ……」
 キスされると目をつぶろうとするも、染谷くんはぐっと耐えるように私の頬にキスをした。
 やっぱりキスしてくれないんだ……。

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ご愛読ありがとうございました!
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