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いとしい君と愛を編む
極上御曹司が見せたみだらな独占欲

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書籍紹介

君を絶対に僕の妻にする。

「教えてあげる。君が僕のものだって」
小さな頃からの後見人で、秘かに憧れていた
美貌の財閥御曹司・征と結婚することになった杏。
初めて知る征の欲望と大人の色香に戸惑いながらも、胸の高鳴りが止まらない。
淫らな愛撫と情熱的なキスに身体が蕩け、滾った楔で快感を刻まれ
最奥を抉られるたび喜びが込み上げてくる。
孤高な御曹司とエロティックで激しい執着愛!

ジャンル:
現代
キャラ属性:
社長・セレブ
シチュエーション:
年の差 | 新婚 | 甘々・溺愛
登場人物紹介

鷹塚征(たかつかせい)

元華族である鷹塚家の長男。美貌の鷹塚グループ次期総裁。全身から圧倒的な存在感を醸しだし、富も地位も兼ね備える。

箕田杏(みたあん)

黒目がちな瞳が印象的な美少女。7歳の時に引き取られて以来、征が後見人として面倒をみている。絵の才能がある。

立ち読み

 視界の端にひらりと空から舞い落ちるものが見えた。
 箕田杏は、顎のラインで切り揃えられた黒髪をさらりと揺らして、スケッチブックから顔を上げた。
 昨夜から降り続いた雪で、辺りは白く染まっている。つい今し方まで綿毛みたいな雪が降っていたはずなのに、いつの間にやんだのだろう。
(雀……)
 どこからか飛んできた雀が、真っ白い地面の上で飛び跳ねている。雪がやんで餌でも探しにきたのだろうか。小さな鳥の足跡がスタンプみたいに雪の上に押されていった。
(お前はいいね)
 好きな場所に行ける翼があるものはいい。
(私は、どこにも行けない)
 母である亜希が先月、事故で死んだ。
 今日は四十九日法要のため、母の姉家族と共に親戚たちが集まる寺へと連れて来られていた。お経も墓へのお参りも終わっているのに誰も帰ろうとしないのは、杏の処遇について話し合っているからだ。
「うちは無理よ。旦那の両親の介護があるもの。今までだってあなたが亜希の代わりに面倒を見ていたのだから、それでいいじゃない。杏ちゃんだって、馴染んだ場所で暮らせる方が落ち着くに決まっているわ」
 義両親の介護を理由に、面倒事から手を引こうとしているのは、祖母の妹にあたる女だ。
 高慢な口調で言い放つ大叔母に、母の姉である成美が食ってかかった。
「ちょっと! 勝手に決めないでくださいよ。杏を預かっていたのは仕方なくなのよ?」
「でも、ただで面倒を見ていたわけじゃないのよね。亜希からは養育費をもらっていたことは知っているのよ。それに、あの子が不倫の子を孕んだとき、あんただけが産むことに賛成したっていうじゃない。そうよね、姉さん」
「え、えぇ……」
 祖母の声に、大叔母がそら見ろと言わんばかりに勝ち誇った口調になった。
「だったら、最後まで面倒を見るのが筋なんじゃない? 私たちは遺産もないあんな小さな子を預けられても困るだけだもの」
「そんな……っ。だ、だいたい、うちには男ばかり三人も子どもがいるの! これ以上一緒になんて暮らせないわ。万が一のことがあったら、どうしてくれるのよ!」
「考えすぎよぉ。そりゃ、半分外国の血が混じってるから、顔立ちはそこらの子より綺麗だけど? それにね。あんた、葬儀のときは杏の面倒は私たちで見るって言ってたじゃない。どうせ亜希の残したお金当てにしたんじゃないの? 亜希は通訳として世界中を飛び回っていたくらいだし、そこそこ稼いでいると思ってたんでしょうけど、蓋を開けてみたらたった二百万しかないなんて。でも、一度自分で言ったことなんだから、責任取って杏を引き取りなさい」
「──っ」
 やり込められた成美が、話の矛先を大叔母の息子のところへと向けた。
「晴信さんのところはどうなの? 子どももいないんだし、生活に余裕ありますよね!?」
「な──っ、俺たちは好きで子どもを持たないわけじゃないんだ! それを知ったような口で、不愉快だ!」
 紛糾する彼らの声は、どんどん大きくなっていく。
 すべて杏に丸聞こえであることなど、頭の隅にもないに違いない。
 杏は寺の階に座り、無心になって絵を描いていた。
 スケッチブックいっぱいに描いているのは、紅蓮の炎を纏った翼だ。赤に橙、黒と重ねて塗ることで燃えさかる炎のおどろおどろしさを表現している。
(これはママの翼)
 炎で焼かれて自由を得た母の姿だ。
 杏という足かせが外れた母の魂は、どこへ飛び立っていったのだろう。
(お父さんのところかな)
 写真でしか見たことのない父親は、茶色の髪に青い目をした気弱そうな人だった。母がヨーロッパ地方の小さな国へ旅行したときに、ガイド役をしたのが父だったそうだ。
 とは言え、杏に父と似た箇所はない。ただ異国の血が混じっているとわかるくっきりとした目鼻立ちが、自分が純粋な日本人ではないことを表していた。
 杏は、母が身軽になって日本を飛び出していきたいと思っていることを知っていた。
 娘のことより仕事ばかりを優先していた人だったけれど、それでも杏にとってはたった一人の母親だった。
(ママはどうして私を産んだの)
 母の背中には飛び立つ喜びを知る真っ白な翼があった。けれど、それに鎖をつけたのが杏なら、いったい自分はなんのために生まれてきたのだろう。
 どうして自分には翼がないのか。
 今も寺の一室では、杏を押しつけ合う声がやまない。
 心がどす黒い気持ちを吸って、どんどん重たくなっていく。
(──いや、こんな気持ち、いや!)
 黒のクレヨンを手に取り、描いた絵を塗り潰した。擦れた手の側面が真っ黒になる。
(消えろ、消えろ──)
 母のことが好きだからこそ、母を恨めしく思う気持ちが嫌だった。
『杏の絵の才能は、あの人からもらったものなのね。彼もね、すごく絵が上手なのよ。画家になりたかったんですって』
 もし本当に父親がいるなら、今すぐ迎えに来て。
 こんな惨めな場所から連れ出して。
 誰にも必要とされていないことなんて、聞きたくない。
 この先、杏の幸せなんて、きっと一つもないんだ。
 黒目がちの大きな瞳から、大粒の涙がぽろぽろと黒くなったスケッチブックに落ちていく。クレヨンが涙を弾き、画用紙を滑り落ちていった。
「……っ」
 堪えきれなくなった嗚咽が零れたときだ。
 雪を踏む足音に、杏は俯いた顔を少しだけ上げた。
(……お父さん……?)
 見えた男物の黒靴の先端に、一瞬心臓が高鳴る。息を呑みながら完全に顔を上げるも──。
(──違った)
 立っていたのは、見たことのないスーツ姿の男だった。
 でも、七年生きてきた中で、一番綺麗な人だ。
 整えられた薄茶色の髪に、秀麗な美貌。学校の先生や親戚たちと本当に同じ大人なのかと思うほど、格好良かった。
 きっと彼は神様が大事に大事に作った人なんだろう。
 男は左腕に杏のスケッチブックくらいの大きさをした、薄桃色のうさぎのぬいぐるみを抱いていた。
(誰?)
 杏と目が合うなり、男はほんの少しだけ口角を上げた。
「君が杏ちゃん? はじめまして、僕は鷹塚征。君のお母さんのお友達だよ」
 自己紹介する征を、杏はじっと見た。
 大人の人はみんな苦手。
 笑っていても、彼らが杏を疎ましく思っているのを知っている。
 返事をしないでいると、少し遅れて老齢の男がやって来た。こちらもまたスーツ姿だ。
 征は彼に一言、二言話しかける。男は征に一礼して、親戚たちのいる部屋へと歩いていった。
 改めて二人きりになると、征がもう少しだけ杏に近寄った。
「亜希の面影があるね」
「……本当にママの友達ですか?」
 すると、征が杏の前にしゃがみ込んで、顔の高さまでうさぎのぬいぐるみを持ち上げた。
「そうだよ」
 そうしていると、まるでうさぎが答えているみたいだ。
「ねぇ、杏ちゃん。今日から僕と一緒に暮らそうよ」
 手をバタバタさせながら、うさぎが言った。
 コミカルな動きに目を奪われていた杏は、すぐには言われた意味が理解できなかった。
「駄目?」
 こてんとうさぎの体が斜めに傾ぐ。
 一緒に暮らす?
 誰と?
「──うさぎちゃんと暮らすの?」
 そう言ってから、杏は自分の失言に気がついた。咄嗟に成美がいる部屋を振り返る。
(よかった、聞こえてなかったみたい)
 うさぎに話しかけはしたが、それを動かしているのは征だ。
 成美は、大人には敬語を使えと、とりわけ杏には厳しく言ってくる。
 けれど、気をつけていても、なかなかうまくできない。
 そのたびに機嫌を悪くされるのが悲しくて、杏はできるだけ必要なこと以外は話さないようにしていた。そうすれば怒られないですむからだ。
 征も杏を叱るのだろうか。
 こんな綺麗な人に怒られたら、いつも以上に悲しくなるに違いない。
 俯いて身構えていると、「そうだよ」と優しい声音が返ってきた。
(──怒られない? なんで)
 おずおずと顔を上げた。
「……どうして?」
「楽しいことをいっぱいしたいからさ」
 やっぱり征は怒らなかった。
「楽しいことって、なんですか?」
 首を傾げれば、うさぎがその場で飛び跳ねた。
「こうやって毎日ぴょんぴょん飛び跳ねるんだ」
 長い耳が飛び跳ねるたびにゆらゆらと動くのが可愛かったが、あいにくと杏はうさぎではないから、それが楽しいことには思えなかった。
 何も答えないでいると、うさぎが飛び跳ねるのをやめた。顎に短い手をやり「う〜ん」と考え込む。それから、ぱっと両手を広げてばたばたさせた。
「じゃあ、美味しいものをお腹いっぱい食べよう」
「美味しいもの──。うさぎちゃんは人参?」
「君はお菓子!」
「でも、お菓子は一日一個にしないと成美さんに怒られちゃう」
 我慢しきれず食べてしまったら、明日のおやつはなし。従兄弟たちはよくても、杏は駄目なのだ。
 母は好きなだけ食べればいいと言うのに、成美は二個目に手を伸ばすと、ものすごく怖い顔をしてきた。
「じゃ、一個をうんと大きくしよう」
 そう言って、うさぎが「これくらい」と両手を大きく広げた。
「それとも、こ〜れくらい?」
 うさぎの大きな円を描くような仕草が可愛い。思わず笑みが浮かんだ。
「もっと。こ──んなくらい!」
 杏もつられて両手を広げた。本当にそんなに大きなお菓子があればいいのに。そうしたら、お腹いっぱい食べられるし、一個は一個だから怒られることはない。
「やっと笑った」
 うさぎがぱちぱちと手を叩いた。
「僕、杏ちゃんのこと大好きになっちゃった。もっとお話ししたいな。だから、僕と一緒に暮らそう?」
 そう言って、うさぎが右腕を差し出してきた。
「え……、でも」
 杏はまた親戚たちのいる部屋を見た。
(あれ? 静かになってる)
 先ほどの老齢の男が、親戚たちと何かを話しているのが見えた。
「大丈夫。さっきのおじいさんは、杏ちゃんが僕と暮らせるように彼らにお話ししてくれているんだ」
「そうなの?」
 問いかけると、うさぎがこくんと頷いた。
「僕もひとりぼっちなんだ。杏ちゃんが一緒にいてくれると嬉しいな」
「うさぎちゃんも? お母さんはいないの?」
「いるけど、今は離れて暮らしているんだ」
 杏も母と離れて暮らしていたから、うさぎの気持ちはよくわかる。
「うさぎちゃん、可哀想」
「うん。とても可哀想なんだ」
 うさぎはしくしくと短い腕で顔を覆って泣き出した。
「泣かないで」
 悲しげに泣くうさぎを慰めたくて、優しく薄桃色の頭を撫でる。
「君が一緒にいてくれるなら泣かない」
 そんなこと誰にも言われたことがなかったから、どうしていいかわからない。
 頷けずにいると、ぬいぐるみの後ろから征がひょっこりと顔を出した。
「僕も君と一緒に暮らせるのが、とても楽しみになってきた」
「うさぎのおじちゃんも?」
「おじちゃんかぁ。せめてお兄ちゃんがいいんだけどな」
 苦笑いする征に「うさぎのお兄ちゃん?」と言い直した。
 すると、征が「うん、まぁそうかな」と綺麗な顔で笑った。
「僕のところへおいで。ここにいるより、ずっと幸せな人生になるよ」
「幸せって、なに?」
 私が邪魔者にならないこと?
 ずっと側にいてくれて、毎日一緒にご飯を食べたり、授業参観に来てくれたりすること?
 素朴な杏の問いかけに、征の表情が固まったように見えた。
 首を傾げれば、征が痛ましげに目を細める。
「おいで、僕と新しい場所へ行こう」
 立ち上がった征が杏に手を差し出した。
 どこへ行っても邪険にされるなら、望んでくれる人のところへ行きたい。
 それでも、たった今会ったばかりの人の手を取るには、まだ勇気が足りなかった。
「必ず君を幸せにしてあげる」
 その瞬間、曇り空の切れ目から太陽の光が差した。降り注ぐ陽光を背に手を差し伸べる征は、まるで空から舞い降りた神様のように神々しかった。
(すごく綺麗)
 もしかしたら、征はひとりぼっちになった杏を助けに来てくれた神様かもしれない。
「……私にも翼をくれる?」
 すると、征が一瞬目を丸くした。その目が黒く塗り潰されたスケッチブックに向けられる。だが、すぐに笑顔に戻った。
「何色の翼がいい?」
 あぁ、やっぱりそうだ。
「──連れてって」
 クレヨンで真っ黒になった手を差し出しても、征は嫌な顔をすることはなかった。
 立ち上がった彼が、杏の手を取る。引き上げられるように杏も階から立ち上がった。
「いい子だ」
 外の冷気から守るように、征はコートの中に杏を引き入れた。
「これも持っておいで。今日から君の友達になる子だ」
 手渡されたうさぎのぬいぐるみをぎゅっと胸に抱きしめる。そんな杏の頭を征がコートの上から優しく撫でた。
「これでひとりぼっちじゃない」
「……うん」
 久しぶりの抱擁に、杏はぬいぐるみに顔を埋めながら涙ぐんだ。

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