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黙って俺に愛されなさい
凄腕弁護士と子作り契約

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書籍紹介

クールで無敗、最強の弁護士に捕まりました

「俺の子を産むのが条件だ」職を失い不運続きな志保。信一に救われて衣食住の面倒をみてもらうことに。抱かれる覚悟をしていたのに、なぜか優しく世話を焼かれ――。冷たそうに見えて、実は温かい。彼の本質を知るほどに心奪われる。「ずっと我慢していた。抱いていいか?」熱杭を穿たれ、全身に満ちる喜悦に恍惚となって。エリート弁護士との契約から始まる、幸せな恋!

ジャンル:
現代
キャラ属性:
インテリ
シチュエーション:
玉の輿・身分差 | 年の差 | 甘々・溺愛 | オフィス・職場 | お風呂・温泉
登場人物紹介

田島信一(たじましんいち)

田島法律事務所の弁護士。法曹界のサラブレッド。歩道橋の上から落ちそうになった志保を救った縁で家に住まわせることに。一見冷たい印象。

孤杉志保(こすぎしほ)

児童養護施設育ち。そのことが原因で職場を転々としてきた。衣食住の一切を信一に世話してもらう代わりに彼の子を産む契約をするが……。

立ち読み

 幼いころから、同じ夢を見続けている────。
 立っているのは、いつも薄暗い場所。目の前には螺旋階段がある。
 一歩一歩、螺旋階段をのぼっていく。周りには誰もいない。ひとりきりで上を目指してのぼっていく。
 ゆるやかな普通の階段なのに、そこをのぼるのはとても息苦しくてつらい。ときに泣きたくなる。
 足を進めるたび、今来た段は暗い沼に沈んでいく。
 後戻りはできない。ただ、のぼり続けるしかない。
 この階段がどこまで続いているのかはわからないし、いつまでのぼっていればいいかもわからない。
 けれど、のぼりきった所に、きっとなにかがある。
 漠然とした想いだけれど、それを信じてのぼるしかなかった。
 きっと……終わりはあるんだ……。
 この苦しさから逃れて……のぼりきれば……。そこには……。
 そこに……見えるのは──────。


「繰り返す。これは契約だ」
 田島信一は、メガネ越しに鋭い双眸を孤杉志保に向ける。メガネのブリッジを押さえてから人差し指を彼女の前に立てた。
「俺は君に、安定した生活を保証する。いわゆる衣食住だ」
「は、はいっ」
 正座したまま、志保はピシッと背筋を伸ばす。信一に慎重なトーンで話をされると、背筋は伸びるし気持ちが引き締まる。なんといっても喉の奥がスッと涼しくなって、ちゃんと聞かなくちゃという気分にさせられる。
 これも、彼が弁護士という職業柄身につけている雰囲気のせいなのだろうか。
「それに対して、君は俺の条件を必ず遂行する」
「はい」
「こちらの条件は、君が俺の子どもを産むことだ」
「は……はい」
 ちょっとだけ、返事がひるんだ。
 先刻交わしたばかりの“契約”を繰り返されているわけだが、内容が内容だ。いくら志保でも少々弱気になる。
 それもこんな話を、人通りのない古びた歩道橋の上で、お互いコンクリートに座りこんでしているのだから、もし誰かが通りかかってこの光景を見たのなら、滑稽というほかないだろう。
 衣食住を保証された安定した生活なんて、……志保には想像ができない。自分には縁のないものだと思っているから、想像したこともない。
 それを……、今日、それも数分前に初めて会ったこの男、田島信一という男性が保証してくれるという。
 ただしその条件が、彼の子どもを産むことだ。
 捨て子として育った自分が……子どもを産む……。
 考えたこともなかったし、考えてはいけないことだとさえ思っていたのに。
「契約書は交わさない。だが口約束だと思って甘くみるな。俺からの提供を受けた時点で、君は条件を呑んだと理解する」
「は……はい……」
「逃げるなよ」
「そんなことしません。約束は守ります」
 逃げたくたって、おそらくできないだろう。仮に逃げたってすぐに捕まる気がする。
 この男からは逃げられない。そんな気がするのだ。
(でも……、子ども? わたしが?)
 自分が子どもを産むという想像もしなかったこともだが、それにいたるまでの最初の段階が頭をかすめ、頬がほわっと温かくなった。
(と、いうことは、……わたし、この人と……)
「それじゃぁ、行くか」
 志保と向かい合ってコンクリートに胡坐をかいていた信一が、スーツの埃を払いながら立ち上がる。その手をハンカチで拭ってから、志保の腕を掴み彼女を立たせた。
「……あの……どこに……」
「俺のマンションだ。衣食住は保証すると言っただろう。どうせ自分のアパートに帰ったって、追い出される未来しかないんだろう?」
「それは……はい」
「すぐそこの駐車場に車を停めてある。ついてこい」
「は、はいっ」
 ついてこいと強めに言ったわりには、彼は志保の手を離さない。背が高いぶん歩幅も大きいし少し早足だ。どちらかといえば小柄で華奢な志保は、半分駆け足になって引っ張られていく。
「あ……あの……、田島さんっ」
 声をかけると、彼は一度ピタリと立ち止まり、それから歩調をゆるめた。
「すまない。仕事の癖が出た。ゆっくり歩くとしよう」
 まさか……、そんなことに気づいて気遣ってもらえるとは思わなかった。
 緊張していた心がふわっと温かくなる。志保は彼が振り向いているうちに早口で言葉を出した。
「あのっ……、よろしくお願いします……!」
 ……ありがとうございますのほうがよかっただろうか。
 なんといっても彼には、命を救われている。
「わたし……、鈍くさくて……なにもできないけど、約束だけはちゃんと守ります……。それだけは、自信がありますから……!」
 なにを言っているんだろう。せめて、ご迷惑を掛けないように頑張ります、くらい言えたらよかったのに。
 こんな怪しげな自分を拾ってくれた人なのに……。
 クビになってばかりを繰り返してきた職場の面接のときだって、長所をアピールしたものだ。「長所は約束を守れるところです」と言っても、鼻で笑われたことしかないのに。
 信一のような人にまで、こんなことを言ってしまうなんて……。
 見当違いな自分の言動が恥ずかしい。しかし信一は、ふっと微笑んでくれた。
「約束を守れる人間は信頼ができる。人間として素晴らしい長所だ」
 歩きだした彼に手を引かれ、志保は心が明るくなっていくのを感じる。
 信一の言葉がとても嬉しい。ちょっと怖そうな雰囲気もあるが、彼がいい人なのだろうというのはこの数分間で心に沁みた気がする。

 志保は数分前、心がズタボロだったときのことを思い返した────。







「先立つ不孝をお許しください……」
 そう呟いてから、ふっと自嘲する。
「なーんてね……」
 先程より大きな声でひとりごちながら、孤杉志保は歩道橋の欄干を掴んだ両手を伸ばして身体を引き、重心をうしろにかけた。
(もし、この欄干が崩れたらどうなるんだろう……)
 古びた歩道橋だが、一五二センチの華奢な志保がぶら下がったところで欄干が折れたりすることはないだろう。ましてやそれが原因で歩道橋が崩れたりはしない。
 それでも志保はときどき、死の危険性を孕んだ想像をしてしまう。
 いきなり階段から落ちたら……。プールに入っているときに誰かに水の中に引きこまれたら……。倉庫の扉が閉まって出られなくなったら……。
 ……しかしそれは、ただの妄想ではない……。
 実際に経験したことだから、それらで命を落としていたらどうなっていただろうと考えてしまう。
「……馬鹿みたい……」
 自嘲は大きくなり、鼻を鳴らして短く嘲笑する。
 死にたいと思ったことは何度もあった。今も突発的に思ってしまったから、あんな言葉が出たのかもしれない。だからといって誰に許しを請おうとしたのだろう。
 ──たとえこのまま姿を消したって、心配する人なんていないのに……。
 そう考えると、今まで生きてきたこの二十一年間はいったいなんだったのだろう。気分はどこまでも重く沈み、志保は欄干を引き寄せ歩道橋の下を覗いた。
 眼下ではたくさんの車が、途切れることなく車道を走り去っていく。
 ヘッドライトを煌々と照らし前後に流れてゆくさまは、地獄の底で目を光らせながら志保が落ちてくるのを待っている鬼のようにも見える。
 魑魅魍魎が自分に手を伸ばしている幻覚が見えて、志保はゾクリと胆が冷えるのを感じた。蒸し暑い夏の夜なのに、冷たい汗がこめかみを伝う。
 今、歩道橋の上に立つのは志保一人だ。先程まで帰宅途中の会社員や近くの飲食店から流れてきたのであろう酔っ払い、こんな夜遅くになにをしているのだろうと疑いたくなる制服姿の女子高生などが背後を通りすぎていった。
 歩道橋の中央で欄干に手をかけ佇んでいるだけでも怪しいのに、誰ひとりとして、声をかけなければ目もくれない。
 もしかしたら気味が悪くて目をそらしているのかもしれない。Tシャツにジーンズという休日にちょっと近くのコンビニまで買い物に行くようなアッサリとしたスタイルに、肩甲骨まで届く伸ばしっぱなしの髪はブラシで梳いても直らない癖がところどころにつき、ときおり吹き抜ける生ぬるい風に吹かれて乱れている。
(うん……気持ち悪いわ……わたし)
 自分の今の姿を想像し、まるで地縛霊かなにかみたいだと思うと悲しいどころか笑いが込み上げてきた。
 誰にも気にかけてもらえることなんかなかった人生。それなら、最期までそれでいいではないか。
 またもや悲観的な思いで胸がモヤモヤしてくる。
 誰も自分を気にしない。それでいい。
 衝動的に歩道橋の上からヘッドライトの大群の中へ身を投じたとしても、誰にも気にされていないほうが都合がいい。
 財布も鞄もなにも持ってきてはいない。身元がわかるような物はなにひとつ身に着けてはいない。ここから落ちて何台もの車に潰され、この身体がグチャグチャに壊れても、身元が知れることはないだろう。
「わたし……なんのために生きてたんだろう……。なんのために、生まれてきたんだろう……」
 志保の口からは、誰も答えてはくれない疑問ばかりが飛び出した。
 彼女が死んで姿が見えなくなったとしても、探してくれる人間などいない。行方不明になったとしても、心配してくれる身内などいないのだ。
 志保には両親がいない。赤ん坊のころ養護施設の前に捨てられ、高校を卒業するまでそこで育った。
 志保が育った幸星園は親や身内のいない子どもの他、親の手にあまる子どもを預かる私設の更生施設でもあった。普通の施設職員もいたが、更生児童用の指導職員が幅を利かせ、……決しておだやかな環境ではなかった……。
 高校を卒業して施設を出たが、世間は施設育ちの志保をまともには受け入れてくれなかった。蔑みと嘲笑を彼女に与え、そのため、仕事もまともには続かない。
「……今回もクビになっちゃった……」
 欄干を離して肘から腕を置き、ため息にならない息を吐く。塗装の剥げた錆びた鉄が少し痛い。それを避けようと右手を動かし、手のひらの痛みを思いだした。
(働いたぶんのお給料、もらえないだろうな……。どうしよう)
 志保は今日、今月に入ってから働きはじめた小さな工務店の事務所をクビになった。理由は、社長に平手打ちをするという暴力行為だ。
 叩きたくて叩いたわけではない。働きはじめたときからボディタッチの多い人ではあったが、残業を頼まれ事務所で二人きりになったとたん抱きついてきた。驚いた志保がなにかにつまずいて転んだ際に一緒に転倒し、力が弱まったところで「やめてください!」と手を横に振ったら見事なほどヒットしてしまったのだ。
 相手は痛かったようだが、志保だって手が痛かった。ただでさえ気温が高いのにジンジンして熱くて、手のひらだけ火傷をしたのかと思った。
 当然、「クビだ、出ていけ!」と怒鳴られた。
 出来事もショックだが、最後に付け足された言葉が「施設育ちが偉そうに、黙って風俗にでも行ってろ!」……なのは、とんでもなくショックだ。
 正直、こんなセクハラやパワハラは初めてではない。今まで何度も経験し、そのせいで仕事は続かない。
 施設を出てから、苦い思いをしつつ仕事を転々としてもなんとかなっていたのに、今回は本当にピンチだ。
 今月末に家賃を払えないとアパートを追い出されてしまう。
(あああああ〜〜〜〜、どうしよぉぉぉ!)
 再び欄干を掴んで身体をうしろへ反らす。目に映るのは、迷走する志保の心とは対照的な星の輝く綺麗な夜空だ。
 どうせ光の海に飛びこむのなら、星の光の海へ飛びこみたい。そんなことを考えて、よくみる夢を思いだす。
 どこまで続いているのか知れない、螺旋階段の夢だ……。
 あの螺旋階段は上に伸びていたのだから、この綺麗な星空に繋がっているのではないか……。
「……そんなわけないか……」
 そんな綺麗な場所が、自分に見合うとも思えない。志保は身体を戻し、──地獄を見下ろす。
 そこに見えるのは光の乱舞。どこか幻想的で、先程までの魑魅魍魎には見えない。
 もしかしたら、最期のはなむけに神様が見せてくれているのかもしれない。この美しい光景が消えてしまわないうち光の中へ飛びこめば、自分は今度こそ幸せに……。
 ──苦しい螺旋階段をのぼりきって、なにかを掴むことができるのではないか……。
 安泰を求める心が、終わりへと誘惑する。志保はまるで暗示にでもかかったかのように靴を脱ぎ、鉄棒の要領で欄干に腹部をのせた。このまま前のめりになれば……。そうすれば……。
 腹部が欄干に押されると、それに刺激された内臓がキュルルッと音をたてる。こんなときなのに、今日は朝からなにも食べていないことを思いだした。
(死ぬ前に、大好きな梅のおにぎり、食べたかったな……)
 現世への未練が梅のおにぎりなのも滑稽だが、自分にはこのくらいが似合いかもしれない。……が。
(せめて、梅のおにぎり食べてから考え直してもいいんじゃないだろうか……)
 わずかに自我を取り戻す……。しかし、秒で決断が遅かった。志保の身体は奈落の底へ向かってスルリと滑り落ちてしまったのだ。
(────落ちっ……!)
 これはない。
 せっかく、やっぱりもう少し生きていようかと思いついたというのに。
(やっぱりわたし、最期まで惨め……!)
 志保はまぶたをぎゅっと閉じ、光の鬼たちに喰われるその瞬間を待つ。
 しかしどうしたことだろう。いつまでたってもその瞬間が訪れない……。
 確かに身体は滑り落ち、上半身は宙づり状態なのに。身体は落ちていかない……。
 その理由がなんとなくわかり、志保はゆっくりと目を開ける。そしてその瞬間、彼女の身体は思いっきり歩道橋の内側へと引き戻された。
「きゃぁぁっ!」
 思わず叫び声を上げる。両足首を何者かに掴まれた感触には気づいていたが、いきなりその足を引っ張られたのだ。
 半分宙づりになっていた身体をそのまま引かれては転倒してしまう。しかし志保を引っ張り上げた主は、途中で足首を離し、身体に腕を回して彼女が転倒しないよう支えてくれたのだ。
「えっ……あっ、……はぁ?」
 志保は自分に起こっている出来事の意味がわからず、……混乱するままに意味のない声をあげる。
 がっしりとした片腕が、背後から胸の下に回されている。夏物のスーツらしきサラサラとした生地、力強い腕、どうやら引き上げてくれたのは男性らしい。
「くだらんものを見せるな。暑苦しい」
 背後からこの男性のものと思われる声が聞こえ、胸の下に巻かれた腕が外れる。力が抜けていた志保の身体は、その場にヘナヘナと崩れ落ちた。
「おまえ、死にたいのか?」
 頭上から低く厳しい声が落ちてくる。志保は目の前に見える立派な革靴から、チャコールグレーのズボン、上着、ネクタイ、と、順を追ってその声の主を仰いだ。

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