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ずっと君を探してた エリート弁護士は地味系女子を諦めない

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書籍紹介

生まれ変わりの二人は再び巡り逢って――

「ようやく君を見つけた」弁護士・仁科の熱っぽい瞳に、史緒理の心臓は早鐘を打つ。逞しい体に容赦なく苛まれ、悦楽に溺れるけれど。彼は悪夢の中で史緒理を殺した男と瓜二つ。知り合いの巫女にそれは前世の実体験だと告げられる。恐ろしいのに、なぜか無性に懐かしい男性。過去に生きた私は彼を愛していた。そして、今もまた――。過去世の記憶が繋ぐ甘く切ない愛の真実。

ジャンル:
現代
キャラ属性:
インテリ
シチュエーション:
玉の輿・身分差 | オフィス・職場 | 甘々・溺愛 | お風呂・温泉
登場人物紹介

仁科亮(にしなりょう)

法律事務所の優秀なパートナー弁護士。端正な美貌の優しく紳士的な男性。史緒理をなにかと気にかけ、司法試験の勉強をみてくれることに。

有働史緒理(うどうしおり)

法律事務所の法律事務職員(パラリーガル)。普段は伊達眼鏡をかけ、地味な容姿。弁護士を目指している。美男子に刀で刺し貫かれる悪夢を見続けていて!?

立ち読み

「──またっ、出た……っ!」
 脂汗を浮かべて跳ね起きた有働史緒理は、ぜぇはぁと息を切らしてパジャマの上から心臓のあたりを手のひらで押さえた。超絶イケメンに刺し殺されるという悪夢のせいで、なかなか動悸がおさまらない。
「もう……なんの恨みがあって毎回毎回……」
 たまに夢の中に現れる絶世の美男子は、現れるたびに刃物で胸を貫いてくる。夢なので刺された痛みは感じないが、刃物を振りかぶる人影は無条件に怖いし、美しい顔を間近で見つめながら意識が遠のいていくのは、己の死を実感できてめちゃくちゃ恐ろしい。
 史緒理が肺の奥底から重苦しいため息を吐き出したとき、ちょうど目覚まし時計のアラームが鳴り響いた。朝なのに疲れた体を引きずってベッドから降りる。
 正月休みが明けた一月中旬の室内は寒い。もふもふカーディガンを羽織ってエアコンを点け、手早く弁当を作り身支度を整える。肩甲骨を覆う長い髪は一つにくくり、メイクはあえて最低限のみ。地味めのスーツに着替えて仕上げは伊達メガネをかける。
 どこからどう見てもダサい地味子ちゃんになるが、これでいい。
 よし、と気合いを入れて史緒理は家を出た。
 薄明が広がりつつある真冬の午前六時は、東京という大都会であっても静寂に包まれている。頬を冷やす冷たい空気をかき分けながら、史緒理は吐く息を白く染めて目覚める前の街を歩いた。最寄りの地下鉄駅に飛び込み、空いている車両の座席に腰を下ろす。
 去年の十一月中旬、地元の名古屋オフィスで働いていたところ、突然の転勤命令が出て東京オフィスへ移ってきた。まだ二ヶ月ほどしかたっておらず、いまだ東京の人の多さや通勤ラッシュに慣れない。
 そのため早朝の時間帯に家を出る習慣が身についた。
 三十分ほどで到着した大手町駅で降り、早朝から開いているカフェの隅に陣取ると、民法論文のテキストを開く。
 熱いカフェオレと香ばしいバタートーストを味わいつつ、いつもより集中して過去問を解き続けた。悪夢を見た日は、気を抜くと夢の内容を思い出してしまうから。
 それ以前に今は、司法試験まで半年を切っている。過去問集の中にわからない箇所を一つでも残したくない。
 史緒理は百回以上は読み返している判例集のページをめくる。
 意識を知識の海に沈めているうちに、カフェに入って一時間ほどが経過し、集中力が切れて視線をテキストから切り離した。
 時刻は午前八時三分。窓の外を見れば、サラリーマンやOLたちがせかせかと自分の勤務先へと急いでいる。
 史緒理の職場まではここから十分もかからない。オフィスへ向かうのにはちょうどいい時刻だと、冷めたカフェオレを飲み干した。
 このとき、いきなりテーブルに湯気の立つコーヒーカップが置かれ、正面の席に人が座った。
「おはよう。早いんだな」
 窓からの光をさえぎるほど大柄な男性が、朝日に負けないキラキラした笑顔で見つめてくる。突然のことに史緒理は目を瞬いた。
「……おはようございます。仁科先生」
 史緒理が勤務する弁護士法人、野口・小宮山法律事務所のパートナー弁護士だった。
 パートナーとは、共同経営する法律事務所において、経営側の弁護士を指す。一般企業で言うなら取締役だ。ちなみに事務所に雇われている弁護士はアソシエイトという。
 思いもよらない人物の登場に、史緒理は動揺を悟られないよう外していた伊達メガネをかけた。
 史緒理は勤務先で事務職員として働いている。仁科は自分が補佐する弁護士のうちの一人だ。
 とはいえ彼とは、このようにお茶をする間柄ではない。しかも自分は転勤してから二ヶ月程度しか経過しておらず、特別に親しいわけでもない。同じ職場の弁護士とスタッフ、ただそれだけだ。
 ──仁科先生、なんでこんな早くに出勤したんだろ。いつもはもうちょっと遅いのに。
 史緒理の疑問が顔に出たのか、コーヒーを飲む仁科は笑顔を崩さないまま口を開いた。
「今まで仕事を片づけていたから、ちょっと寝に帰るよ。午後になったら出てくるから」
「え……徹夜されたんですか? アメリカから帰ってきたばっかりなのに」
「うん。向こうの案件で担当者と話してたら、なかなか終わらなくって」
「そうですか……」
 時差が大きい国との仕事は大変だな。と、こういうときに実感する。海外出張を終えた仁科が帰国したのは、昨日の昼頃だというのに。
 疲れていないのだろうかと思いながら、彼の端整な顔をまじまじと眺める。しかし神が意欲的に整えたと思わせる左右均等な美貌に、疲労などいっさい見受けられなかった。日本人離れしているたくましい体躯からも、くたびれた印象は感じない。
 見上げるほどの身長は百九十センチもあるそうで、何かスポーツをしているのか、がっしりというかガッチリとした巨躯は、服の上からでも筋肉質と感じられる。
 おかげで上質なスリーピーススーツが事務所の中では一番よく似合っており、初めて会ったときなど紳士服のモデルでもやっていたのかと想像したほどだ。
 徹夜明けでもパリッとした雰囲気を崩さないイケメンを前にして、タフな人だなぁと思っていたとき、彼の視線が史緒理の手元に落ちた。
「有働さんって司法試験を受けるんだ?」
 ──あっ、しまった。
 慌てて問題集を鞄にしまうが、時すでに遅し。うろたえる史緒理へ、仁科が笑いを含んだ声を放った。
「なんで隠すんだよ。俺の同期にも社会人やりながら弁護士になったやつがいたぞ」
「……あまり、知られたくないんです。試験に落ちたら恥ずかしいじゃないですか」
 秘密にしているのはそれだけが理由ではないが、ごまかすための言い訳に仁科は首をひねる。
「司法試験の合格率って、今でも全体の二十五パーセントぐらいだろ。落ちたって恥ずかしいことじゃない」
「……そうですか」
 曖昧に微笑む史緒理は心の中で、「大学生で司法試験に受かった人の言葉に、説得力などありません」と皮肉混じりに考えていた。
 仁科はT大学法学部在学中、予備試験──司法試験の受験資格を得るための試験──と、司法試験に一発合格した秀才だ。弁護士として野口・小宮山法律事務所に入所した後、アメリカの大学に留学し、ニューヨーク州の司法試験に合格。現地オフィスで企業法務に従事してから、東京オフィスに復帰してパートナーに昇格したエリート中のエリートだ。
 ここまで飛び抜けて優秀だと反論する気力も湧かない。史緒理はぬるくなった水で乾いた口内を湿らし、「そろそろ行きますね」と立ち上がろうとした。
「あ、待ってくれ。これお土産なんだ」
「え……」
 小さめの紙袋を差し出されて史緒理は困惑する。彼がこのようなお土産を持ってきたのは初めてだ。
 素直に手を伸ばすこともできず固まっていると、彼はにこりと微笑んで袋の中からハードカバーの洋書を取り出した。
 表紙を見た史緒理は、「あっ」と小さな声を上げる。
 日本ではあまり知られていない、アメリカで有名なミステリー作家の新作だ。まだ日本には入荷されておらず、電子書籍化もされていない。某巨大ECサイトの海外版で注文しようとすれば、送料で二十倍の値段に跳ね上がる。
 それでも買うべきかと悩んでいたときに現物が現れ、史緒理は無意識に身を乗り出した。
「……いただいても、よろしいのでしょうか」
 我慢できず上目遣いに仁科を見上げると、彼は満足そうに目を細めて笑みを浮かべた。
 イケメンの麗しの微笑に、一瞬、史緒理の呼吸が乱れる。
「もちろん。君のために買ってきたんだ」
「ありがとう、ございます……」
 ドキドキと高まる心臓の鼓動を無視して、史緒理は大好きな作家の憧れの新刊を手にする。ハードカバーのつるりとした表紙を撫でて瞳を輝かせた。
 史緒理の趣味は読書だ。特に洋書は、大学時代に英米文化学科に進学した際にハマり、勉強も兼ねて読み漁っていた。
「すごい……こんなに早く読めるとは思いもしませんでした」
「そこまで喜んでくれたら俺も嬉しいよ」
 そこで仁科はコーヒーを飲み干して席を立ち、「それじゃあ」と言い置いてあっさり店を出て行った。
 大きくて広い背中を見送った史緒理は、仁科の姿が店から消えると安堵のため息を吐き出した。
 知らず知らずのうちに緊張していたらしい。やはり顔がいい男は、夢の中の殺人鬼を思い出すから苦手だ。特に仁科はガタイが良くて迫力があるから、少し怖い。
 でもあんなふうに微笑まれると、ちょっぴりときめいてしまう。ちょろい自分が憎い。
 ふう、と息を吐いて洋書を鞄の中にしまったとき、時刻が午前八時十九分を過ぎたことに気づいた。始業まで十一分しかない。
 勢いよく立ち上がってトレーを返却し、猛烈に焦りながらオフィスへと駆け出した。

 野口・小宮山法律事務所はオフィスビルの十五階から二十階にあり、史緒理のデスクがあるオフィスは十九階だ。遅刻寸前に出勤した史緒理へ、同じパラリーガルの桂が驚いた表情で声をかけてくる。
「おはよう、有働ちゃん。こんなギリッギリなんて珍しいわね」
「はい、ちょっと、寝坊しまして……」
 仁科につかまっていたとは言いにくいためごまかした。デスクチェアに腰を下ろして曇ったメガネを拭いていると、パラリーガルの島に近づいてきた秘書の上原も意外そうな表情になる。
「もしかして走ってきたの? 髪が乱れているわよ」
 そう言いながら史緒理の頭部を手櫛で整えてくれる。桂も上原も共にアラフィフの既婚者なので、二十七歳の史緒理は二人から見ると娘のように可愛いらしい。
 くすぐったく思いながら礼を告げ、さっそくメールチェックをする。
 本日の業務は、クライアント企業からの秘密保持契約の英訳が一件。
 アメリカの裁判所から送られてきた証拠書類の和訳が一件。
 午後二時からシンガポールオフィスのパートナーとテレビ会議があり、その通訳が一件。
 史緒理はパラリーガルであるが、翻訳をメインとするトランスレーターでもある。企業法務に関する、ありとあらゆるものを翻訳するのが仕事で、今日のように通訳も引き受ける。日本人弁護士の中には、まだまだ英会話を苦手とする人が多い。
 ただ、シンガポールとの会議で補佐する弁護士が仁科だったため、史緒理は微妙な顔つきになった。
 ──仁科先生なら通訳はいらないでしょ。
 なにせ彼はアメリカでの執務中、現地企業に出向していたこともあるのだ。
 そして自分はイケメンが怖くて近づけない。いったい自分はどのような業を背負って生まれてきたのだろう。遠くから鑑賞する分には構わないのに。
 しかし仕事中はそんなアホなことなど言っていられない。
 史緒理は意識を切り替えると、担当案件の英訳に取りかかった。
 それから一時間後、法律英語でわからない箇所が頻出したため、史緒理は図書室へと急ぐ。このまま時間を食っていたら、シンガポールオフィスとの会議までに終わらない。まだ和訳も残っているのに。
 顔なじみの司書に挨拶をして目的の書架へ向かう。英米商事法の重い辞書と、アメリカ契約法の書籍を棚から引き抜いた。
 このときスチール書架の裏側からひそめた話し声が聞こえてくる。
「……有働のやつ、今朝はすごい形相で走ってきたらしいわよ。みっともない」
 自分の名前に本を持った手が止まる。この声は……秘書の榊原だ。
 所内一の美女として男性弁護士の人気は高い反面、仕事でミスが多いため女性弁護士からは毛嫌いされている。
「遅刻? あの仕事するしか能がない地味子が珍しい」
「なんか大きなミスして、仁科先生の担当から外れてくれないかなぁ」
「でも有働が異動しても、あのポジションには入れないわよ」
「そうなんだよねぇ。やっぱ上原先輩が異動してくれないと」
 上原を先輩と呼ぶなら、他の女性も秘書だろう。
 仕事は大丈夫なのかと思いつつ、史緒理は気配を悟られないよう、そっと書架から離れた。棚越しに己の陰口を聞いてしまったことで、もやもやした気分を抱えながら足早にデスクへ戻る。
 自分が若い女性スタッフから、好意的に見られていないことは気づいていた。仁科のそばにいる唯一の独身女性というだけで。
 弁護士以外の事務所スタッフは九割以上が女性で、その半数が独身のため、イケメン弁護士の仁科は人気が高い。おかげで史緒理は秘書だけでなく、経理や総務などのバックオフィスのスタッフからも嫉妬と羨望の視線を集めまくっていた。
 合コンで人気がある男性職業は、医師や弁護士、公務員だという。
 新人のアソシエイト弁護士でも、当事務所だと年収は一千万円程度になる。激務で土日も働くことが多いものの、結婚相手を探している女性にしてみれば優良物件だろう。
 しかもパートナーに昇格すれば、年収は一億円を超えるのだ。言い換えればそれだけの稼ぎがなければ、パートナーになれないのだが。
 仁科は三十二歳という若さでパートナー弁護士のうえ、独身でたぐいまれな美貌の持ち主だ。恋人がいるという噂も聞いたことがない。
 結婚願望がある女性にしてみれば、無視したくてもできないほど魅力的な男だろう。
 仁科のもっとも近いポジションにいるのは、秘書の上原である。しかし彼女は子持ちの既婚者。仁科を担当するパラリーガルの桂も同じ。
 だからこそ独身女性の史緒理が、仁科のそばにいることは気に入らないというわけだ。
 しかも史緒理は転勤直後、女性スタッフから飲み会に誘われても、ほとんどをお断りしてきた。
 単に試験勉強をしたいだけだったが、ランチの誘いも断り続けたのは、さすがにまずかったかもしれない。弁当があるのが理由だけれど、仁科の情報を手に入れたい女たちにしてみれば、「慣れ合うつもりはない」との敵対行為にとられたのかも。
 自席に戻った史緒理は、憂鬱な気持ちを抱えながらも作業を再開する。
 翻訳はミスのない正確な文書を作成しなくてはならないうえ、英訳は和訳よりも時間がかかる。気合いを入れて目の前の仕事に集中した。

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