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フェチラブ 完璧御曹司の隠れた本性

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書籍紹介

私の彼が変態なんです!

自分の容姿が好きになれない響紀。御曹司の大雅に「キミの身体は俺の理想なんだ」と迫られ……。敏感な部分を執拗に愛撫され、トロトロに蕩ける。「女性らしい曲線も、すべすべの肌もたまらない」心地いい言葉とともに撫でられれば、抱えた傷も癒えて。どんどん惹かれるのに、彼が求めるのは身体だけ。切ない気持ちでいると「一生、離してあげない」と抱き締めてきて!?

ジャンル:
現代
キャラ属性:
社長・セレブ
シチュエーション:
オフィス・職場 | 玉の輿・身分差 | 甘々・溺愛
登場人物紹介

城ヶ崎大雅(じょうがさきたいが)

ブライダル関連事業の会社・ブランシェの統括責任者。爽やかなイケメン。響紀の身体がフェチな彼のツボにはまったらしく、猛アプローチしてくるが……。どうやら危険人物のようで!?

長谷川響紀(はせがわひびき)

音羽グループ・システム事業部の会社員。大きな胸や顔のそばかすなどコンプレックスがある。同僚に利用された過去があり、傷が癒えていない。大雅に出会い、自分の中で何かが変わっていく――?

立ち読み

 

 

 

 私は、『□□□(わたし)』がキライだ。

 

 

 

「これ、なかなかに強烈だよね」
 背後から届いた声に、彼女は否定も肯定もできなかった。
「私も思わず、この表紙の社内報は読んだなー。広報部はすごい仕事すんなーって、一時期各部署で騒がれてたんだけど……って、長谷川ちゃんが知らないわけないよね」
 知っている。それはもう、痛いほどに。
 当時、広報部では社内報をどうしたら読んでもらえるのか、という問題を抱えていた。どんなに記事の内容が良くても、社員に読んでもらわなければ社内報の意味がない。取材をしても「どうせ読まれないんでしょ?」と、役員に言われてしまうほど、社内報は自宅のポストに入れられたタウン誌と同様の扱いだった。
 さらに嘆かわしいのは、広報部でもほぼ同じ認識だったということだ。
 その意識を変えんがために、部長が一念発起したのである。入社したての新入社員に社内報プロジェクトを任せ、出来上がったのがこれだった。
 白い背景に佇む、上半身裸の女性の後ろ姿。
 彼女は自分自身を抱きしめ、剥き出しの背中をこちらに向けている。その背中の部分に、ちょうど空白がくるように、たった一言。

〔私は、『□□□(わたし)』がキライだ。〕

 今までにない表紙が、見る者を惹きつけたのかもしれない。
 中に掲載された「キライな自分から学んだこと」というテーマも良かったのだろう。各部署へ配布された社内報はいつも以上に読まれ、密かにこの裸の女性が誰なのかを探っている者もいたとかいないとかで、社内報の認知度が一気に上がったのは言うまでもない。その結果、様々な感情を呼び起こさせるとして社内で話題を呼んだ表紙は、今ではポスターとして会社のあちこちに掲示されるようにまでなった。
 だが、どうでもいい。
 もう、終わったことだ。
「先輩は、これを見て何を思った人ですか?」
「んー、何も」
 その反応は、聞いたことがなかった。
「そっかー、そうだよねー、そういう人もいるよねーっていう感じかな」
「……珍しいですね」
「よく言われる。でも、私の嫌いなところは私だけがわかっていればいいことだからさ。みんなみたいに『どうやったら好きになれるのか』『どこが嫌いなのか』とか、自分と向き合うような感情は芽生えなかったなー。それよりも、失敗ばかりだったっていう社長の話のほうが楽しくて身になった。いい記事がたくさんあって、今でも持ってるもん」
「……」
「それから、東でいいよ。長谷川ちゃん」
 隣に立った東の、屈託のない笑顔に心がやわらかくなり、呼吸が楽になる。
 そこでようやく彼女──長谷川響紀は、笑うことができた。
「はい。東さん」
「ん。いいねいいね。緊張する気持ちはわかるんだけど、今ぐらい力抜いたほうがいいよ。さっきまで、能面みたいな顔になってたから」
 ふわふわの長い髪をハーフアップにした東は、誰に対してもこんな感じだった。
 はきはきとした言い方で、きつくもなく、やわらかくもないが、的確に届く声は、学生時代に聞いた先生のものによく似ている。さらに、東の持つ人間性が、とてもフラットなのだろう、辞令とはいえ、未経験な部署へ配属された響紀に嫌な顔ひとつせず、笑顔でいろいろと教えてくれた。仕事だとわかっていても、異動してきたばかりの響紀を受け入れてくれたことは、とても嬉しかった。
「ほいじゃ、打ち合わせに行きますか」
 揃って廊下のポスターを眺めていた東が歩き出し、響紀もそれについていく。
 東の背中を見ながら、響紀は密かに自分の頬を片手で上げていた。先程「能面みたいな顔」と言われたのが気になり、打ち合わせ前に少しでも表情筋をやわらかくしようとする。
 なぜなら、まだ残っている緊張を解すためだ。
 異動が決まり心機一転と髪の毛を切ったはいいが、切りすぎてしまい、慣れないボブで頭が軽い。さらに打ち合わせに備え、度の入ってないパソコン用眼鏡を外したこともあり、よけいにそばかすが目立っている。
 打ち合わせの緊張もさることながら、響紀はいつもと違う自分にも緊張していた。
「それにしても、生きた心地がしないよねー。大手三社によるでっかいプロジェクトに参加なんてさ。長谷川ちゃんなんて、それでうちに異動してきたようなもんでしょう? システムに必要な知識なんて今はいらないから、スケジュール管理だけでもお願い! って、酒井部長に泣きつかれたんだっけ。うちの部長、秘書検の資格をなんだと思ってるんだろうねー。ほんっと何考えてんだろ」
 笑いながら言う東に、響紀は苦笑を浮かべた。
 響紀自身も、まさかこんなところで秘書検定が役に立つとは思ってもみなかった。だから、東と同じ気持ちだ。秘書検定の資格は就職に有利になるから、という理由で学生時代に取得したが、だからといって秘書ができるかと言ったら、話は別だ。それなのに酒井部長は、雑談の中で響紀が話した「秘書検定を持っている」の一言を覚えていて、響紀の当時の上司に直談判したらしい。
 長谷川さんが、欲しい。と。
「でもさ、長谷川ちゃんは大丈夫?」
 エレベーターホールでボタンを押した東が、響紀に振り返る。
「広報部から、システム事業部へ異動しちゃってさ」
 東にそんな気がないのはわかったが、なんとなく自分の心を覗かれたような気がした。決して、この異動を受けたことを後悔しているわけではない。ただ、先程のポスターを見ながら湧き上がる感情は隠せなかったのは、確かだ。東は、ポスターを見つめる響紀の様子を見て、何かを察したのかもしれない。
 この問いはきっと、彼女なりの優しさだ。
 だから、響紀は笑った。
「実は私、ちょうど異動したいと思っていたところだったんです」
「あ、そうなんだ」
「はい。取材のたびに違う仕事のお話を聞いていたので、異動に興味はあったんですけど、肝心の行きたい部署を考えてなくて……」
「ああ。ただ単純に、違う仕事がしてみたかった感じ?」
「ですです。だから、まさかこんなことになるとは思いませんでした」
「そうだよねー。しかも、声かけてきたのが知り合いじゃなくて、取材で何回かやりとりしただけの酒井部長でしょ? 私も普段から酒井部長は、どこか違うなーと思ってたけど、長谷川ちゃんの件でさらにその個性に磨きがかかったと確信したもん」
 そこでエレベーターがやってくる。開いたドアの先には誰もおらず、東に続いて響紀もエレベーターに乗り込んだ。そして、目的の階のボタンを押す。
「私も、当時の上司から異動の打診をされたときは、びっくりしました。だって、システム事業部って技術と知識が必要な部署じゃないですか。そこに、未経験者の私が行ってもいいのかどうか……って、そればっかりで」
「あー、だから、捨てられた猫みたいだったんだ」
 笑いながら言う東に、響紀が驚いて振り返る。
「うまく表情で取り繕ってたけど、人間関係を深めるより、仕事を早く覚えたいっていう空気感かな? あんまり、仕事以外のことは触れてほしくないような感じはしてた。だから、雑談するのが今になっちゃったんだけどね」
 愛想笑いで、うまく誤魔化していたと思っていたのが、恥ずかしい。
 以前の部署なら、響紀の愛想笑いが通用していたというのに、なぜか東には効かないようだ。さっきといい、今といい、まさか、見抜かれていたとは思わなかった。
「……すみません」
「ああ、いやいや、いいのいいの。会社には仕事しに来てるわけだしね。私も、長谷川ちゃんが私に慣れるまで待つつもりでいたから、全然気にしてないよ。でもまあ、案外早く懐いてくれたのは、ありがたかったけど」
 ふふ、と東が笑ったのと、エレベーターが停まったのは、ほぼ同時だ。
「長谷川ちゃんと、安心してプロジェクトに挑めるからね」
 そう言って、東は開いたドアからエレベーターを降りていき、響紀もまた彼女に続く。
「とりあえず、今日の打ち合わせは、気になったところをメモするだけでいいから」
「わかりました」
「ん。いいお返事」
 振り返ってにっこり笑った東が、ふいに動きを止める。
「そうだ、ノート」
 何かを思い出したようにつぶやくと、彼女は手にしていたおしゃれなノートカバーを開いた。そして、がっくりとうなだれる。
「しまった、忘れてた」
 もしかして、ノートを入れ替え忘れたのだろうか。
 ノートカバーをつけていると、使い終わったノートと新しいノートの入れ替えを忘れることはたまにある。響紀も同じやらかしをしたことがあって、そのときのノートの最後のページに、びっしりと文字を書き込んだ。
「よかったら、私のノートを使ってください。私、他にメモ帳が……」
 顔を上げた東が、そうじゃないと言うように首を横に振った。
「大丈夫、ノートはあるんだ。でも、今必要なのは新しい真っ白なノートじゃなくて、打ち合わせに必要な古いノートなの!」
「そっちですか!」
「デスク立つまでは覚えてたんだけどなぁあああ! なんで持ってこなかったの、私!」
「あ、じゃあ私代わりに取ってきます」
「大丈夫だよ、私が……」
 そんなことはさせられないと止めようとする東に、響紀は首を横に振った。
「システムの代表として来てるんです、大事な打ち合わせに東さんを遅刻させるわけにはいきませんから」
 微笑む響紀に、東は申し訳なさそうに息を吐く。
「ごめんね、私の失態なのに」
「全然、平気ですよ。あ、すみませんが、私のノートを預かってもらってもいいですか? 移動に邪魔なので」
「もちろん」
 胸に抱いていた自分のノートを、響紀は東に手渡した。
「古いノートは、剥き出しのままデスクに置いてあるはず。もしなかったら、手前の引き出しの中にあると思うから、勝手に開けてね」
「了解です。じゃ、ちょっと行ってきますね」
「ごめんね、よろしく!」
 響紀は東に背中を向け、小走りに廊下を抜ける。打ち合わせの時間が差し迫っていることから、ちょうど開いたエレベーターから数人、人が降りてきていた。通り過ぎようとしていた響紀が目に入ったのか、ひとりの男性の視線を感じる。
 次いで聞こえた、
「でっか」
 という声に、響紀は視線を下げた。そこには、ゆさゆさと揺れる胸がある。
(好きででかいわけじゃない)
 すぐに顔を上げた響紀はエレベーターホールを通り過ぎ、重い鉄のドアを押し開いて非常階段へ出る。踊り場で小さく息を吐いた響紀は、胸の下に腕を添えて階段を駆け上がった。
 一階は受付のあるエントランスホールで、二階は外部との打ち合わせ用になっている会議室が並んでいるため、社員の働くオフィスフロアは三階以上になる。
 響紀のいるシステム事業部は、五階だ。
 つまり、三階分駆け上がらなければいけない。
(あと、もうちょっと……ッ)
 息を切らしながら非常階段から出ると、響紀は急いでシステム事業部のオフィスフロアに駆け込んだ。タイピングの音が途切れ途切れ聞こえる中、東のデスクに向かう。東の言うとおり、デスクの上、脇のほうに積み上げられた資料ファイルの上にノートが置いてあった。
「よかった……」
 それを胸に抱き、響紀はまた踵を返す。
 再び非常階段へ出たのだが、今度も胸の下に片腕を添えて階段を下りた。急いでいるときはこうして支えないと、階段を速く駆け上がることも、下りることもできない。
(ほんっと、邪魔!)
 この大きな胸のせいで、嫌な思いをすることが多かった。
 不躾な視線に晒され、かわいいデザインのブラジャーはなく、小柄で胸が大きいせいでバランスの悪い身体は着る服に悩まされる。ふわふわのシフォンワンピースなど着ようものなら妊婦になり、だからといって身体の線が出るシャツインコーデなどしようものなら、胸が強調され、思ったとおりのシルエットにならなくて絶望を味わう。
 気づけば、おしゃれは楽しむものではなく、苦痛になっていた。
 機能的で少し身体の線を見せられて、なおかついやらしくならない服装を考えるのはそれなりに疲れる。気を使うところがいくつもあって、おしゃれを楽しむことなどできなかった。だから今は、ウエストが見えるAラインのスカートに、少しゆったりめのバルーン袖のシャツや、襟抜きができるVネックのシャツなどを、いくつか着回すことで、どうにかしている。
「……はぁ、はぁ……」
 二階まで辿り着いた響紀が非常階段から出ると、打ち合わせが始まっているのか、そこに人の姿はなかった。ほっとする安堵感と、急がなければいけない気持ちが混ざりあい、響紀の足を速める。エレベーターホールを通り過ぎ、ここを曲がればあとは会議室に向かうだけだ。
 誰もいない安心感と気が急いたことでラストスパートをかけたのが、いけなかったのだろう。響紀が角を曲がったところで、目の前に大きな黒い影が現れた。
 ぶつかる。
 瞬時にそう理解した響紀は、これからやってくるだろう衝撃を覚悟して目をつむった。が、何かに正面から体当たりした直後、響紀の小さな身体は弾かれることなく、あたたかく黒いものに覆われる。ふわり、と甘い香りに包まれた。
 響紀の身体から力が抜ける。
 鼻先をかすめる甘い匂いに、さっきまであった焦りが和らいでいくのがわかり、響紀の心が溶けていくようだった。一瞬のうちにすっかり身体を預けてしまった響紀だったが、腰と背中に回った手の感触と、強くなった腕の力で我に返る。
 そこでようやく、響紀はぶつかった何者かに抱きしめられているのだと気づいた。
「あ、あの」
 声を出したことで、相手も察したのだろう。腕の力が緩められ、響紀は慌てて離れる。
 小柄な響紀の視線の先にはネクタイとベスト、それからジャケット。なんとなく予想はしていたが、相手はとても大きな人間、それも男性だった。しかも、このフロアで首から社員証をかけていないことから、来客だと思われる。
「申し訳ございません! お怪我はありませんか?」
 深く頭を下げてから、響紀はようやく相手の顔を見上げた。
 はっきりとした目鼻立ち、少しふっくらとした唇、セットされた黒髪から覗く綺麗な額。爽やかな印象を受ける顔立ちだけでなく、すらりと伸びた身長や、先程まで抱きしめられていたときのしっかりとした腕の力強さを思い出し、自然と頬が熱くなった。
 表情に出さないよう努める響紀に、彼はなんの反応も示さない。それどころか、さっきからずっと見つめられている。絶妙に視線が合わないと思い、すぐにその理由を理解した。
 ああ、またか。──と、響紀は思った。
 胸が大きいせいで、胸元を見られるのには慣れている。響紀は、そっと手にしたノートを胸に抱いて隠した。
 そこで彼も我に返ったのだろう、ようやく視線が合った。
 響紀は何事もなかったように微笑むのだが、彼は大きな身体を勢いよく折り曲げた。
「申し訳ない」
 と。
「女性の身体を黙って見るなんて不躾だった。礼を欠いて、すまない。本当に、申し訳ない」
 突然のことに目を瞠る響紀の前で、男は深く頭を下げている。
 こんなことは初めてだった。
 いまだかつて、自分の胸を見ていた男に真正面から誠実に謝られたことがなかったせいか、言葉が出ない。だからといって、面食らっているままではいられないのもわかっている。来社している客人に、いつまでも頭を下げさせている場合ではなかった。
「どうか、顔を上げてください」
「しかし」
「大丈夫です。私、慣れてますから」
 だから、安心してほしい。
 そう伝えたのだが、上半身を起こした彼の表情は思っていたものとは違った。
「それは、よくない」
 とても悲しそうな瞳で言われ、思考が止まる。
「私が言えることではないんだが、自分の痛みを見逃すのはよくないよ」
 何かが、心の奥で音を立てた。

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