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甘い恋人
北の国で優しい社長に拾われました。

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書籍紹介

シンデレラ女子の逆転ラブ!

東京から北海道に移住した梨乃。暖房が壊れ極寒のなか困っていると、偶然出会った有名製菓会社の社長・大和が居候させてくれて!? 札幌を巡ったり楽しく過ごすうち、温かい彼に惹かれ――。夜は蕩けるキスに巧みな愛撫。欲望を奥深く突き進められれば、快感に痺れる。一緒にいたい気持ちを抑えきれずにいると「ずっとここに住めばいい」思いも寄らない甘い提案をされて!?

ジャンル:
現代
キャラ属性:
社長・セレブ
シチュエーション:
甘々・溺愛 | 玉の輿・身分差 | 船上・旅もの | 年の差 | お風呂・温泉
登場人物紹介

久保大和(くぼやまと)

有名菓子メーカー・雪華製菓の社長。長身のイケメン。強引だけど、親しみやすく温かい。北海道をこよなく愛している。偶然出会った梨乃を居候させてあげることに!?

大塚梨乃(おおつかりの)

実家が経営する会社の跡継ぎとして育てられたが、弟が生まれてお役御免に。そのため、実家から遠く離れた北海道に移住。デパ地下の販売員として働いている。

立ち読み

「梨乃、お前は大塚家の跡継ぎなんだから、しっかり頼むぞ。家にはお前一人しかいないんだからな」
「いいお婿さんを貰うのよ。そのためには、あなたが素敵な女性にならないとね」
 大塚家の長女として生まれた私は、ずっとそう言われて育った。
 跡継ぎと言っても、資産家とか、旧華族……なんていうたいそうな家柄じゃない。ただ長く続いていて、何かあればすぐに潰れちゃいそうなほどの小さな会社を経営している家っていうだけなんだけど、言葉の意味がよくわからない頃から、そう言われて育ってきた。
「うん、わかった! 私、頑張るね」
 言葉の意味はわからないけれど、そう答えると両親が喜ぶことだけは知っていた。
 お父さんとお母さんが大好き。だから笑って欲しい。喜んで貰いたい。
 両親に言われるままに習い事をいくつもこなして、必死に勉強してきた。
「また百点だったのか! お前は本当にかしこいな。天才かもしれないぞ」
「梨乃、この調子で頑張ってね」
「うんっ! 私、頑張るっ!」
 もっと、もっと、頑張ったら、お父さんとお母さんは喜んでくれるかな? きっと、喜んでくれるよね。私、頑張るよ。
 一生懸命塾に通っていたら、いい成績が取れるようになった。でも、中学年、高学年になって勉強が難しくなると、そうもいかない。
 凡人の私は、人一倍努力してようやく普通の成績を取ることができる。その上を目指すにはさらなる努力が必要だった。
「梨乃、最近成績を落としているようだな。お前は大塚家の跡継ぎなんだから、しっかりして貰わないと困るぞ」
「遊びに行きたい? ダメに決まっているでしょう。そんな暇があったら、勉強しなさい!」
 いつからか、両親の言う通りにするのが辛くなってきた。
 私だって、友達と遊びたい。
 塾なんて行きたくない。習い事なんてもうやめたい。勉強なんてしたくない。たまには部屋でゆっくりのんびりしたい。
「……それで、誰と遊びに行くつもりなの?」
「美衣ちゃん……」
「美衣ちゃんって……同じクラスの東美衣ちゃん? あの子とは付き合っちゃダメ!」
「どうして?」
「あの子のお家は、大塚家にはふさわしくないの。だから、友達になるのはやめなさい」
 私が仲良くしたいと思う子のことを悪く言われたくない。
「梨乃、誰と連絡してるんだ? 男じゃないだろうな。お前は大塚家の跡取りなんだから、しかるべき時に素晴らしい男性を婿に取るんだ。男なんて作ったら承知しないぞ」
 変な詮索しないで欲しい。
 私は次第に交友関係を隠すようになった。
 小さな引っかかりやモヤモヤが、だんだんと心に溜まっていって苦しくなる。時折叫んで、逃げ出したい衝動に駆られていた。
 でも、私は大塚家を継がないといけないんだ。
 私が継がなかったら、大変なことになる。我が儘なんて言えない。
 家のために、頑張らなくちゃ──。
 友達と遊ぶこともなく、恋愛をすることもなく、ただ勉強や習い事をこなす毎日を送っていた。
 でも、その日は突然やってきた。
「……お母さん、今なんて……?」
「だから、お母さんね、妊娠したの。男の子だって……!」
「えっ! でも、お母さんは、妊娠しにくい身体だったんだよね?」
「そう! だから奇跡よ。しかもこんな歳になってからできるなんて……ああ、神様って本当にいるのね」
 子供ができづらい体質で、ようやくできたのが私──だから跡継ぎとして育てられてきた。家を出なくていいように、婿を取るようにって言われてきた。
 じゃあ、どうなるの?
「この子が大塚家の跡継ぎだ。よかった。これで婿を取らなくて済む」
 こうして私は、跡継ぎじゃなくなった。
 家のためだけに生きてきた私から跡継ぎを取ったら、何も残っていない。
 私には友達も、外で生きていくための経験も、何もない。
 ──私は、これからどう生きていけばいいんだろう。

 

 

 

 スマホの目覚ましアラームの音を聞いて、私は嫌々目を開けた。
 また、今日も一日が始まる……ああ、嫌だ。
 スマホに手を伸ばすと、ひんやりした空気が布団に入り込んできて、ゾクゾクッと鳥肌が立つ。
「うう、やだぁ……」
 許されることなら、このままずっとベッドの中にいたい。でも、そんなこと許されるわけがないから、ゆっくりと身体を起こす。
「寒……っ」
 ベッドにかけておいた厚手のカーディガンを羽織って、身震いしながらストーブを点けた。
「うぅぅ……さむさむ……」
 温風が出てくるまでのわずかな時間が長く感じる。
 私、大塚梨乃は──大学を卒業すると同時に生まれ育った東京を出て、北海道札幌市に移住した。
 私の家は古くから、小さな会社をやっている。
 内装業を営んでいて、特に大きな利益はないけれど、今のところは潰れる心配はないといった会社だ。
 大塚家には本家と分家があって、私は本家で唯一の子供だった。
 私の母は子供ができにくい体質で、長い不妊治療を経て私を生んだ。そこで次の妊娠は難しいと言われたと聞いた。
 家を継ぐのは、本家の男児と決まっている。
 昔は子供が産めないと離婚して、別の女性に……ということもあったらしいけれど、うちの母の場合はそうもいかなかった。
 母の実家も会社をやっていて、うちの会社と繋がりがある……というか、その関係で結婚したのだ。
 離婚なんてことになったら波風が立ってしまうからと、私が婿を取って家を継ぐことに落ち着いた。
 私が大塚家を継ぐんだ。だから、頑張らなくちゃ……!
 私にとって、大塚家と両親は絶対だった。
 跡継ぎになるためにと言われるがままに勉強や習い事をしてきて、友達と遊んだことなんて一度もない。
 もちろん恋愛だって……。
 不満や心の引っかかりから目を逸らして、寝る間も惜しんで必死に頑張ってきた。私は出来のいい方じゃないから、本当に頑張った。
 でも、大学二年生の時に弟が生まれたことで、私はお役御免となった。
『弟が跡継ぎになったら、私はこれからどうすればいいの……?』
 答えはわかっていたけれど、聞かずにいられなかった。
『今までよく頑張ってきたな。でも、もう大丈夫だ。これからは大塚家の名に恥じない程度に、好きに生きなさい』
 そんな……。
 ずっと、自由に憧れていた。
 でも、私は大塚家の跡取りにならないといけないんだから、そんなことを願ってはいけないと思って生きてきた。
 自由って、好きにって……どうしたらいいの?
 ただ生まれた時から決められていただけで、跡取りになりたいわけじゃなかった。でも、なれないと知ったら、空しかった。
 私の今までの努力は、一体なんだったの?
 悲しみと怒りで胸がいっぱいになって、息ができないぐらい苦しい。
『これからどうしたい?』と心の中で自分に問いかけた時、家を離れたいと思った。都内で一人暮らしじゃまだ近い。
 どこでもいいから、うんと遠くに行きたい。
 家のことを思い出せないくらい遠くに行けば、この負の感情からも逃げられるような気がした。
 遠くでなら、自由や好きなことが何なのか探せるような気がする。
 大学二年生だった私は、就職先に札幌と沖縄の企業を選んで、受かった札幌に移住したのだ。
「……うう、寒い……」
 ああ、外に出たくない。このままストーブの前にいたい。でも、そろそろ支度をしなくちゃ……。
 ストーブに後ろ髪を引かれながら、洗面所に向かう。水がお湯になるまでの時間が長くもったいないので、ペットボトルに溜めておく。
 なんとお湯になるまで二リットルペットボトルの半分が溜まるので、馬鹿にできない。ちなみにこの水は、いつも加湿器に入れている。
 築十年の1LDKが、私の家だ。
 オートロック付き、駅までは五分で、スーパーも近いのに、家賃は管理費を含めて四万五千円と都内に比べたらかなり安い。
 最初はすごく貯金ができるんじゃないかと思ったけれど、暖房費にかなり持っていかれて『すごく』は無理だった。
 今日から十二月──札幌に来てから約七か月が経った。
 未だに負の感情からも逃げられていなければ、自由や好きなことがなんなのかもわからないまま、毎日を必死に生きていた。
 私は札幌のお菓子会社に就職し、デパートで販売員として働いていた。
 デパートの閉店時間は八時だけど、その後に色々とやることもあって、帰るのが終電間際だったり、過ぎてしまうこともたまにある。
 仕事から帰ったらご飯を食べて、お風呂に入って、テレビを見ているうちに眠くなって、寝てしまう。
 休日も食材の買い出しや家の掃除をして、動画配信サイトでドラマや映画を見ているうちに一日が終わる。
 友達もできていないから、誰かと約束をして遊ぶ……なんてこともない。職場と家を往復する毎日だ。
 朝食を済ませ、身支度を整えて家を出ると、あまりの寒さに今すぐ家へ戻りたくなる。
 少しでも体温を上げるために温かいものを食べても、外に出たら一気に冷えてしまう。
 共同玄関を出たら、一面の雪景色にうんざりする。
「うわぁ~……」
 一晩で随分積もったなぁ……。
 昨日は少し溶けかけて道路が見えていたから、『このまま溶けたらいいのに!』と思ったのに、一晩で真っ白になったどころか、道路の端に大きい雪の山ができている。
 雪の山ができたことで場所によっては道幅がかなり狭い。人一人通るのがやっとのところを通る時は、真向かいから誰かが来たらどうしようかと思う。
 最初は都内に住んでいると滅多に見られない雪に感動したけど、本当に最初だけだった。
 今では窓を開けると、うんざりする。
 寒いし、歩きにくいし、中途半端に溶けたかと思えばガチガチに凍ってスケートリンクだ。
 早く冬、終わらないかなぁ……。
 地下鉄駅に着くと、軽装の女子高生を見付けた。
 薄手のコートにマフラーを巻いて、短いスカートに短い靴下でムートンブーツ……足は寒さで真っ赤になっている。
 ひぃぃぃ……! 見てるだけで、風邪引きそう……!
 ちなみに私は、コートをしっかりと羽織って、マフラーで首元をグルグル巻きにして、分厚い手袋を身につけている。
 コートの中はニットにジーンズで、さらにタイツと靴下を穿いた上にブーツ……これだけの装備でも寒い。
 というか、軽装なのは女子高生だけじゃない。
 地元の人はみんな驚くほど薄着で、厚着をしている人はとても少ない。なので、厚着をしているのは、観光客の人だとすぐわかる。
 地下鉄のホームに入ると、風が遮られて少しだけ暖かい。
「今日なんか暖かくなかった?」
「うちも思った! 今日暖かいよね~」
 嘘でしょ!?
 真っ赤な足をした女子高生の会話に、思わず心の中で突っ込んだ。一歩間違えたら、口に出ていたかもしれない。
「ママが今日は暖かくなるって言ってたよ。最高気温一度だって」
「マジで? マイナスじゃないとか、珍しいじゃん」
 寒いよ! 一度って冷蔵庫の中より寒いよ!?
 生まれた時から寒い環境で育ったら、こんなに寒さに強くなれるの?
「ねえ、今日の帰り、札駅行かない?」
「行く行く~! プリ撮ろうよ」
「えっ! うち、金欠なんだけど~」
 友達って、どうやって作るんだろう。
 学生時代は同じクラスの子と自然と友達になれたものだけど、大人になってからはどうしていいかわからない。
 同期がいれば友達になれたのかもしれない。でも、残念なことに今年の新卒採用は私一人だけだった。
 ……学生時代の友達って、友達だったのかな。
 遊びに誘って貰ったことはあるけれど、私は一度も遊びに行かなかった。
 あの時、両親に反抗して、友達と遊んでいたら、何か変わっていたのかな……。
 何気なくスマホを見ると、家族のグループチャットにまた新着メッセージが届いていた。
 また、今日もかぁ……。
 弟の颯介の大量の写真と共に、彼の近況報告が送られてくる。
 主に送信者は専業主婦の母で、仕事をしていて家にいない父に対しての『今、こんなことしたのよ! 可愛い!』という報告をし、父も『本当だ! すごく可愛い』というやり取りが続いている。
 最初は私も反応していたのだけど、父の反応に対しては返しても、私のメッセージに対しての反応はないので、なんとなく送りにくくなってやめてしまった。
 グループを抜けるのも感じが悪いし、既読を付けないのもあからさま過ぎるから、一応開いて軽く内容を見ている。
 颯介も私みたいに、好きなことができないで育つのかな……。
 自分のことすらどうにもできていないのに、写真を見るたびに心配になる。
 ああ、ダメ……私、また家のことを考えてる。
 せっかく遠くに来たのに、スマホで繋がっているせいで、気が付くとどうしても大塚家のことを考えてしまう。
 ──私、全然変われてないなぁ……。

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