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腹黒先生の淫靡なカウンセリング

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書籍紹介

笑顔の裏には独占欲

恋愛が苦手で恋人ができてもすぐ振られる李莉。悩んだ末、有名なイケメンカウンセラーの松永に治療してもらうことに。「僕の指示に従って?」カウンセリングルームで抱きしめられ、何度も激しい口づけを受ける。「すごく濡れてるよ」羞恥心を煽る言葉責めと執拗な愛撫に身体が蕩け、いつしか自分から彼を求めるようになり――。策士な先生×不器用OLの濃密ラブ!

ジャンル:
現代
キャラ属性:
クール
シチュエーション:
年の差 | 甘々・溺愛 | オフィス・職場
登場人物紹介

松永悠樹(まつながゆうき)

テレビやSNSで有名なイケメン心理カウンセラー。李莉から依頼を受けて治療を始める。基本的には爽やかな好青年だが、李莉が絡むと少し様子がおかしくなる時があって……?

久住李莉(くずみりり)

社会人二年目で大企業の受付をしている。恋愛が苦手で松永に治療を依頼するが……。キスをされてから松永に強く惹かれていく。

立ち読み

「ではこの入館証を胸につけていただき、あちらのエレベーターで五階へどうぞ」
 久住李莉は、受付用紙に名前を記入するスーツ姿の男性に向かってにっこりと微笑んだ。
「あ、ありがとう」
 三十代半ばと思われる男性は李莉の笑顔に微かに顔を赤らめると、名残惜しそうにしながらエレベーターホールへと消えていく。
「李莉、極上スマイルサービスしすぎじゃない? 今のお客様、あんたの笑顔に見とれてたわよ」
 並んで座っていた二年先輩の相澤鞠花が、カウンターの下で李莉の脚をつついた。
 ここはライジングホールディングス傘下の飲料メーカー“ライジングビバレッジ”の本社ビルだ。
 ライジングホールディングスは国内最大級のグループ企業で、李莉が勤務するビバレッジの他に食品会社、酒類販売、ワイナリーホテルの経営などとにかく多岐にわたっている。
 入社二年の李莉はライジングビバレッジ本社のコンシェルジュとして勤務していた。
 昨今は人件費削減のために受付に内線電話を置き、来客に自力で問い合わせてもらうスタイルをとっている企業も多い。
 しかし李莉の会社では就業時間内は“コンシェルジュ”という呼び名で受付に女性が座っており、来客への対応を行っている。
 ベージュと黒のラウンドネックのワンピース、襟元にコサージュのように巻かれたスカーフはさながら一昔前のコンパニオンかCAのようで、制服で社内を歩いていると男性社員の視線を一身に集めてしまう。
 入社当初、李莉は自分がコンシェルジュに抜擢されたことが信じられなかった。先輩方はみな容姿端麗で、語学も堪能なのに、つい先日まで普通の大学生だった自分になにができるのだろうと不安だった。
 英語しか話せない李莉に比べ、隣に座る鞠花は子ども時代を中国で過ごしたそうで、英語と中国語を操るトリリンガルだ。
 もちろん語学だけでなく頭もいい。各部署の出勤状況や異動、どこの部がどんなことをやっているかなど社内のことにも精通しているし、取引先のお客様の顔や名前などもしっかりと記憶をしていて、さながら会社のデータバンクといった役割も果たしている。
 受付嬢として女性を座らせるのは時代遅れという声もあるが、来客も女性に笑顔で出迎えられれば悪い気はしないし、初めて会社を訪れる客は才色兼備のコンシェルジュたちに気圧されてしまうことも少なくない。
 最初は研修後そんな中に突然放り込まれて、人見知り、悪くいえばコミュ障の自覚のある自分には務まらないのではないかとかなり悩んだ。
 しかし真面目で何事もきっちりしていないと気が済まない性格にコンシェルジュの仕事は合っていたようで、先輩方の優しい指導もありなんとか仕事をこなすことができるようになった。
 今現在、李莉たち正社員五名と派遣社員三名の女性でシフトを回しているのだが、特に隣に座る鞠花は李莉を可愛がってくれていて、対人関係に不器用な李莉を理解してフォローしてくれる。
「言いなさいよ、上機嫌の理由」
「そ、そんなふうに見えました?」
「まあ私があのお客様なら“俺に気がある?”って誤解するぐらいにいい笑顔だったわよ」
「ま、まさか」
 冗談だとわかっているが、つい慌ててしまう。鞠花にからかわれてしまうほど、あからさまに態度が違っていたのだろうか。
「わかった! デートでしょ。ほらこの間、交際を申し込まれたって言ってた人じゃないの?」
 会話だけ聞けばおしゃべりに夢中になっているようだが、二人とも顔は正面を向いたままで、鞠花の唇には接客用の微笑も浮かんでいる。つまりいつでもお客様をお迎えできる臨戦態勢だ。
 李莉も、勤続四年目のベテランコンシェルジュの鞠花を真似て、唇に笑みを浮かべる。
「ま、まだ正式にお付き合いしてるってほどでもないんですけど、実は……今日、三回目のデートなんですよ」
 浮かれているつもりはなかったが、男性と順調にデートを重ねるのは久しぶりだったので、その気持ちがいつの間にか態度に出ていたらしい。
「おお! 三回目って言ったらいよいよじゃない?」
「……や、やっぱりそうですよね。なんだか、大事な話があるからって言われて」
 あくまでも鞠花の持論だが、付き合い始めの男女は三回目のデートでなにかが大きく動くと、何度か力説されたことがある。
 それはキスであったり、それを飛び越して一気にベッドに誘われるなど、ここで交際が続くか終わるかのターニングポイントだそうで、真偽のほどはわからないが、李莉も三回目を少なからず気にしていた。
「大事な話? ってまさかいきなりプロポーズじゃないでしょうね。だってその人とはキスもしてないんでしょ? とりあえず今夜の目標はキスね。でもそろそろあっちも体験しておいた方がいいと思うんだけど」
「あ、あっち、ですか」
 仄めかされた言葉に、李莉はうっすら頬を染めた。
 もう何度も言われているから、鞠花の言いたいことはわかっている。あっちというのはキス以上の性的な男性経験のことだ。
 別に二十三歳にもなって初心なふりをしているわけではない。人並みに興味を持っているし、少女漫画や少し進んで性的な描写がある漫画だって読んだことがある。
 男性とも何度かデートをしたが、経験と言えば大学生のときに付き合った同級生とのキスだけだった。
 男性から交際を申し込まれ、そのたびに今度こそと思って努力をするが、いつも男性の方から交際を辞退、つまりふられてしまう。
 せっかく自分のような人間に交際を申し込んでくれたのだからと、一生懸命に好きになる努力をしているのだが、なぜか上手くいかない。
 正直最近はどうやって男性と付き合えばいいのかわからないというのが本音で、鞠花を含めて周りの人は普通にお付き合いしているのに、どうして自分にはできないのか謎だった。
 この場合普通の定義は色々あるが、李莉には自分以外の人が異性との付き合い方で悩んでいるようには見えなかった。
 仕事のように恋愛にもマニュアルがあればいいのにと、恋愛指南本に手を出したこともあるが効果はない。
 ここからが恋愛ですよ、と線でも引いてあれば喜んで飛び越えるのに。
「まあ、あんまり気合い入れすぎずに頑張りなさいよ。李莉は真面目すぎるところがあるから、考えないで流れに身を任せるっていうのも大事だよ」
「はい」
 幸い今夜会う約束の男性はとても優しいし、今度こそ上手くいきそうな気がする。今夜だって彼の方から食事に誘ってくれたのだ。
 彼が好きかと聞かれたらよくわからないが、好感が持てるし嫌いではない。
 今夜誘われたらどうすればいいのかまだ不安だけれど、李莉は鞠花のアドバイスに素直に頷いた。

*** *** ***

「ごめん。ふたりきりで会うのはこれで終わりにしたいんだ」
 ──あれ?
 鞠花に励まされたほんの数時間後、李莉は悲しいほど聞き慣れた言葉を耳にして首を傾げそうになった。
 膝の上に置いたナプキンの白が目に眩しいなぁと思いつつ、デザートのチョコレートケーキが食べ終わっていてよかったと思った。
 こんな気まずい告白をされたあと、甘いチョコレートケーキなど喉を通りそうもないと、どうでもいいことを考えて落ち込んでいきそうな気持ちを必死で励ます。
 向かい合って座っている男性は、先日李莉に交際を申し込んできたばかりの大原だ。取引先の営業マンで、受付で何度か言葉を交わしているうちに食事に誘われ交際を申し込まれた。
 年令は六つ上だが、鞠花には李莉のような人見知りタイプは年上の方がいいと言われていたし、とても優しい人で、今回は大丈夫だと根拠のない自信があった。
 今日だってわざわざ洒落たレストランを予約してあって、なにか進展があるのだと期待しない方がおかしいだろう。
 そして期待していた分、今回の交際辞退はいつものそれよりも衝撃が大きかった。
「俺から付き合って欲しいって言ったのにごめん。なんか俺たち……合わないかなって」
「……いえ」
 言葉を選びながら申し訳なさそうに頭を下げる大原に、李莉は小さく首を横に振った。
 内心は、もう何度聞かされたかわからない定番の別れの言葉にうんざりしていたし、自分はタイムリープをして、同じ場面を何度も経験しているんじゃないかとか、現実逃避していたけれど。
 鞠花の三回目のデートの法則もあながち的外れではないかもしれない。もちろん、期待していた内容とは大分違うが。
「タクシーで帰る? 送ろうか?」
 たった今別れ話をしたばかりなのに、最後まで優しい大原に内心溜息が漏れる。
 こんなにいい人に交際を申し込まれたのに、どうして上手くいかなかったのだろう。やっぱり自分にはなにか重大な欠点があるのかもしれない。そうでなければこんなにもふられ続けるはずがない。
「どうする?」
「あ、いえ。ちょっと寄って帰りたいところがあるのでここで失礼します」
「じゃあ駅まで送ろうか」
 李莉が首を横に振ると、大原は少し寂しそうに頷いた。
「そう……じゃあ気をつけて」
 向けられる視線は別れを惜しんでいるように見えるのに、どうして別れなければいけないのだろう。
 どうしてもその理由が知りたくて、李莉にしては珍しく自分から口を開いた。
「あの……聞いていいですか? 私のなにがダメだったんですか?」
 いつもの李莉なら絶対にそんなことを尋ねたりしない。大抵は相手が清々したとばかりに早く帰ろうとするし、それは李莉も同じだったからだ。
 でも今日に限って、突然尋ねてみたくなった。大原のようないい人を逃してしまう自分の欠点をちゃんと知りたかった。
「あのさ……李莉ちゃんって俺に興味ないよね?」
 大原は眉尻を下げ、悲しそうな顔をする。
「そ、そんなこと」
 李莉は慌てて首を横に振った。
「一回目のデートのときはあまり喋らないのは緊張してるのかなって思ってたんだ。李莉ちゃん、自分でも人見知りだって言ってたし。でも二回目に会ったときもあんまり変わらなかった。もう少し打ち解けてくれるのかなって期待してたけど、俺の話もあんまり聞いてない感じがしたし。俺はさ、君に笑って欲しくて一生懸命面白い話題を探したつもりだったんだけど」
「……」
 正直、前回のデートで大原がそんなに気づかっていてくれたことにまで気が回らなかった。
 男性とデートをすると相槌や笑うタイミング、食事のしかたや服装、相手にどんなふうに見られているのかが気になって、いつも気が気でなくなってしまう。
 そちらにばかり気を回してしまうから、それが相手にはうわの空に映るのかもしれない。
 なにより突然なにかが起きるのが苦手だった。いつ手を繋いで、いつキスをして、いつ男女の関係になるのか。ルールや教科書があれば必死で勉強するのにといつも思っていた。
 それが身構えているように見えるのだろうか。
「ご、ごめんなさい。全然そんなつもりなんてなかったんです」
 自分からどんな話をしたらいいのかわからないだけで、大原の話はちゃんと聞いていたつもりだ。
 会社の後輩とのやりとりなどを話題にされて、気づかいのできる優しい人だなと思った。だからこそ今日もデートに誘われて即OKしたし、それなりの覚悟もしてきた。
 恥ずかしいけれど、万が一のことも考えて下着も俗に言う勝負下着を準備したのだ。
「あの、私仕事抜きだとちょっと男の人とは」
 ──会話するのが苦手なだけで、大原さんのことを知りたいって思ってました。
 そう言おうとした李莉の前で、大原は通りかかったタクシーに手をあげた。
「ううん、こっちこそ最後にごめんね。李莉ちゃん、会社では人気者だしやっぱり理想も高いんだなって。最初から俺なんかが相手にしてもらおうなんて、調子に乗ってたんだ」
 理想なんて高くない。それより食事に誘われ交際を申し込まれて嬉しくてたまらなかったのに。ちゃんと好きになりたいと思っていたのに。
 しかし李莉がそう訴えるよりも早く、大原は運転手が開けた後部座席の扉をくぐる。
「色々ありがとう。また会社で顔を合わせるかもしれないけど、いつも通り接してもらっていいから気にしないで」
「……はい」
「そんな顔しないでよ。ふられたのは俺の方なんだからさ」
 大原はそう言うと自嘲するような笑みを浮かべ、運転手に合図して扉を閉めさせた。
 ゆっくりと車が走り出し、テールランプの光はあっと言う間に他の車に紛れてしまう。
 しばらくその様子を見送って、李莉は深い溜息をついた。
 大原はふられたのは自分の方だと言ったが、断られたのだからやはり自分がふられた気がする。
 また、言いたいことが言えなかった。そんな自分が嫌でたまらない。
「なんなのよ、もぉ……」
 辛うじて路上で泣き出さない理性は残っているけれど、このままワンルームのマンションに帰ったら号泣してしまいそうだ。
 ひとりになりたくない。そんな李莉の目に、偶然ひとつの看板が飛び込んできた。
 オレンジ色の光でライトアップされたそれはバーの看板で、いつもなら気にも留めない。
 赤茶のレンガの壁には蔦が這うように広がり、少し色あせたチョコレート色の扉は、レトロな喫茶店の入口にも見える。
 ふとその扉が手招きしているような気がして、気づくとその扉の前に立っていた。
 そしてそっと扉に手をかける。いつもの李莉ならひとりで足を踏み入れる場所ではない。
 もともと予定外のことが苦手で、どこかに出かけるとしても電車の乗り換えから食事をする場所まできちんと調べておかないと落ち着かない性格だし、なによりひとりで飲食店に入るなんてあり得ない。
 でも今夜はそんな内向的で臆病な自分を消してしまいたかった。ハプニングが苦手で、イレギュラーな出来事に対応できない自分のせいで、いつも男性に愛想を尽かされてしまう。そんな自分を壊してしまいたい。
 大原と飲んだワインの酔いも手伝って、李莉はチョコレート色の扉を押し、店の中に足を踏み入れた。

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