新しくカートに入れた電子書籍 すべて見る
カートを見る 合計金額(税込)0円
新しくカートに入れた電子書籍 すべて見る
カートを見る 合計金額(税込)0円

あなたの心が聞こえる

本を購入

本価格:650(税抜)

カートに追加しました
電子書籍を購入

電子書籍価格:650円(税抜)

獲得ポイント:7pt
電子書籍を閲覧するにはビューアアプリ「book-in-the-box」(SHARP)をインストールしてください。
書籍紹介

クールな弁護士のHな本音

憧れていた弁護士・隼人の冷淡な態度に悩む向日葵。不思議な雑貨店で買ったピアスをすると、心の声が聞こえるように!? (彼女の胸の谷間に挟まれたい)えっ! 私のことそんなふうに!? 驚きつつも嫌われていないと知り、勇気を振り絞ってデートに誘ってみたら、本性剥き出しのいやらしいキスをされてしまい――! 無口なエリートに溺愛される淫靡&ファンタジーラブ!

ジャンル:
現代 | ファンタジー
キャラ属性:
インテリ
シチュエーション:
オフィス・職場 | 年の差 | 甘々・溺愛
登場人物紹介

加賀美隼人(かがみはやと)

加賀美法律事務所代表の弁護士。クールでイケメンだが、何を考えているのかわからない男性。しかし、その心の中は意外に!?

鈴木向日葵(すずきひまわり)

加賀美法律事務所の事務員。隼人の冷たい態度に傷ついていたが、ある時彼の心の声が聞こえるように?

立ち読み

 その日まで私は、当たり前のように日常が続くのだと全く疑わずに生きてきた。

 私、鈴木向日葵の日常が一変したのは、忘れもしない、まだ残暑が残る中学一年生の秋──敬老の日だった。
 両親と共にお花とお菓子を持って、母方の祖父母の家を訪ねた。
 午前中は父方の祖父母の家を訪ねて、すっかり会話が弾んでしまったものだから、こちらの家に着いたのはもう、夕方近くになってからのこと。
 道中の車の中では、だんだん暗くなり始める景色を見ながら、「日が短くなってきたね」なんて他愛のない会話をしていたのを覚えている。
 敬老の日はちょうど月曜日だったから、土、日、月と三連休。明日から学校か、早起きするのやだなぁ~……なんて呑気に考えていた。
「せっかく来てくれたんだから、用事がないなら夕飯を食べていきなさいな。ちょうど、いい時間帯だしね」
 ちょうどお腹が空いてきたとこだったから、祖母の誘いがとても嬉しかった。家に入った時からカレーの香りがしていて、食べたいと思っていたのだ。
 最初から私たちに食べさせてくれることを考えていたのか、何日かに分けて消費することを考えても、二人暮らしには多すぎる量が鍋にあった。
 お米なんて六合も炊いていて、カレー用のお皿もしっかり五人分用意されている。おばあちゃんの優しさが嬉しい。
「あ、煙草が切れた。お父さん、ちょっとコンビニ行ってくるわ」
 カレーを温め直していると、父が空になった煙草の箱を振りながらキッチンに入ってきた。
「ええ~? もうすぐできるんだよ。煙草なんていいじゃん。ていうか、健康に悪いし、臭いし、やめてよ!」
「ヒマちゃん、お父さんはお母さんやヒマちゃんのために一生懸命働いてくれていて、煙草は大切な息抜きの道具なの。だから、そんなことを言っちゃダメよ」
「だって……」
「へへ、お義母さん、ありがとうございます」
「もう、お父さんっ!」
「ごめんな、向日葵! すぐに帰るからさ。そうだ。帰りにアイス買ってきてやるよ。お前の好きなチョコ味のやつ!」
「私が好きなのはチョコじゃなくて、バニラ! もう、いつも間違えるんだから……」
「あ、そっか、そっか、バニラだ。ははっ! バニラ買って帰ってくるからさ。すぐだよ。すぐ……だから、ごめんな」
 どうしてそこで、謝るんだろう。
 少し引っ掛かりを感じたけれど、その時は追及しなかった。
「うん、もうすぐできるから、早くね! お父さんがいないと、みんな食べられないんだからね」
「わかった、わかった! ごめんな!」
 何度も父が謝っていた理由は、後にわかることになる。
 すぐに帰ると言った父は、そのまま帰ってこなかった。一日、二日、三日──一週間経っても帰ってこない。
 何度携帯に電話をしても、繋がらなかった。
 最初は呼び出し音が聞こえたけど、二日目ぐらいで「おかけになった電話番号は、電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないためかかりません」というアナウンスしか聞こえなくなった。
 この携帯は、後になって駅のごみ箱に捨てられていたことがわかる。着信拒否されたわけじゃなくて、単に充電が切れただけだったみたい。
 とうとう捜索願を出したけれど、父は依然として見つからないままだった。
 父が行方不明になってから二か月後、父の勤めていた会社の上司がやってきて、やつれた母が対応した。
「……では、自主退職という扱いにさせていただきます。こちらは隆文さんのデスクにあった私物です。お力になれず、申し訳ございません……」
「とんでもございません。主人がご迷惑をおかけし、本当に申し訳ございませんでした」
「いえ、事件や事故に巻き込まれていないことをお祈り致します」
「ありがとうございます……」
 お父さん、仕事がなくなっちゃったよ? ねえ、すぐに帰ってくるって言ったじゃん! アイス買って帰るって言ったのに……どうして、帰ってきてくれないの?
「鈴木のお父さん、行方不明になっちゃったらしいよ」
「え、マジ?」
「マジマジ! うちの親が言ってたもん」
「うわ、可哀想~!」
 可哀想だと思うなら、聞こえないところで言ってよ……!
 家の中では、嫌でもお父さんが居なくなったことを自覚させられる。
 せめて学校にいる間だけでも忘れたいのに、家の噂話をしているところを偶然聞いてしまったり、デリカシーのない人は直接尋ねてくることもあった。
 どうして、こうなっちゃったんだろう。
 ついこの間までは、昨日のテレビの話とか、芸能人の話とか、テストで成績が下がっちゃった……とか、課題やるの忘れちゃったとか、そういう話をするのが当たり前だったのに……。
 そんな毎日が退屈だと思うこともあった。私、このまま退屈な人生を送るのかな? って考えたら、うんざりすることもあった。
 何か楽しいことないかな。何か変わったことがないかな……なんて、いつも思ってた。
 でも、今は、そういう退屈な日常が、とても恋しい。
 私、なんて贅沢だったんだろう……。
 父が居なくなってから四か月が経ったある日のこと、家に手紙が送られてきた。
 それは金融会社からの手紙で、父が二千万の借金をしているから、配偶者である母が代わりに返すようにという内容だった。
 まともな状態なら、すぐに弁護士に相談を……という発想ができたと思う。でも、私たち家族は正気じゃなかった。
 父方の祖父母は「妻としてあなたが支えてやらないから、息子が居なくなってしまった。息子を返せ!」なんて母に責任を被せる始末で、とても相談できなかった。
 母方の祖父母には相談できたけれど、私たち同様に混乱していて、そういう考えは出てこなかった。
 他人に相談できる内容じゃないから、誰かからアドバイスを受けることもできずに、ただただ困っていた。
 そんなお金、どこにもない。家や車のローンだって残ってる。所有者は父だから、勝手に売ることもできない。
 今あるのは、母がパートで働いてくれたお給料だけで、とても苦しい生活状況になっていた。
 お給料はすべてローンで消えてしまうから、祖父母が援助してくれなかったら、明日の生活すらままならない。
 貯金はすべて下ろされていた。しかも不正にではない。犯人は父だ。コンビニでATMを操作する姿が、防犯カメラに映っていた。
 一度に五十万までしか下ろせないから、場所を変えて何度も下ろしている様子が映っていたそうだ。
 パートじゃとてもやっていけない。正社員として働けるところを探しているけれど、なかなか見つからない。
 そんな状況で、二千万なんてとても無理だった。
 父が戻ってくるまで待って欲しいと交渉しても、戻ってくるまでに利子が付いて、二千万よりも多く返さないといけないらしい。
 少しでもいいから返して欲しいと言われた。でも、家には本当にお金がない。手元にある微々たるお金を渡したところで、これじゃ足りない。早く返せと責められた。
 督促の手紙が毎日のように送られてきて、夜になると電話がひっきりなしにかかってくる。時には金融会社の人が直接家に訪ねてくることもあった。
 母と一緒に居る時はまだ我慢ができた。
 でも、一人で居る時はとても怖い。ドアを叩かれて「金、返せよ!」と大声を上げられるのが一番怖かった。
 鍵をしっかりかけていても窓を割って入ってくるんじゃないか、ドアを蹴破って入ってくるんじゃないかって怖くて、電気を消した上でクローゼットの中に入ってやり過ごすのが日課になった。
 どうしてお父さん、借金なんてしちゃったの? しかも、二千万なんて……。
「向日葵、今度の土曜日遊びに行かない? 色々大変だと思うけど、少しは息抜きっていうか、気分転換しないとさ」
「そうそう。カラオケでも行って、パーッとね!」
「あ……みんな、ありがとう。でも、ごめんね。土曜はちょっと用事があって……」
「そっか……あ、なんか、ごめんね! また誘うから」
「うん、ありがとう」
 友達が気を使って誘ってくれても、カラオケ代どころか、電車代も出すのが難しい。
 新聞配達なら中学生でもできるって聞いたけれど、うちの中学は厳しいし、何より母が物騒だと許してくれなかった。
 その代わり高校生になったら、学業に影響がでない程度に、母が認めるバイトをさせてくれる約束をした。
 早く、高校生になりたい。
 そうしたら、家でただ待ってるだけじゃなくて、少しは助けてあげられる。
 友達との約束も、お金がないからって理由では断らなくて済む。
 でも、本当にいいのは、お父さんが帰ってくること──。
 早く帰ってきて、お父さん……。

 季節は冬へと変わり、日が落ちるのが早くなった。
 私はじゃんけんで負けて入った美化委員会の仕事で遅くなり、暗い家路を急いでいた。
 寒くなってからというもの、気持ちが落ち込む。暗くなると、余計に……。
 家の前に辿り着くと、男性二人が立っていてギクリとする。
 スーツを着た男性──でも、一般職ではないことがすぐわかる雰囲気と着こなしだった。普通の人ならスーツを着ている時にピアスなんてしないし、胸元を開けてネックレスなんて見せない。
 それに髪の毛の色だって明るすぎる。暗くても、目立ちまくり! 茶髪っていうより、金に近い。
 絶対、借金取りじゃん!
 いつもドア越しに母が応対してくれていたから、姿は見たことがなかった。でも、見なくてもわかる。
 逃げた方がいい。絶対に……!
 幸いにも気付かれていないようだったから、いなくなるまでどこかで身を隠そう。
 音を立てないように歩いていたのに、うっかり足元に落ちていた枝を踏んで、バキッと音を立ててしまった。
 今の音で、私の存在に気付いたらしい。ニヤニヤ笑って、こちらに近付いてくる。
 最悪……!
「あれ? キミ、向日葵ちゃんじゃない?」
「……っ……ち、違います」
「ふーん、じゃあ、学生証見せて?」
「も、持ってません……」
「あ? 嘘吐いてんじゃねーぞ。お前、隆文の娘だろ。なあ?」
「お前の父親に金貸したまま逃げられて、こっちは困ってんだよ。金返せよ」
 詰め寄られて、恐怖のあまり涙が出てくる。
「お金……ありませ……」
「ないなら、働いて作れよ」
「大丈夫、俺たち顔が利くからさ。中学生でも働けるところ、ちゃ~んと紹介してやるって。結構可愛い顔してるし、イイ感じに稼げると思うよ?」
 か、稼げるって……。
 その言葉が何を意味しているかわかって、膝が震える。
「女はいいよな。股開けば簡単に金が稼げるんだから」
 やっぱり……!
「お母さんには、後で俺たちが許可取ってやるからさ」
「い、嫌……っ……」
 手を引っ張られ、その場にへたり込んでしまう私に男たちは罵倒した。
「お前に断る権利なんてねーんだよ!」
「父親の責任は、お前の責任なんだからな。法律でそう決まってんだよ。お前にはどこにも逃げ場なんてないんだよ。残念だったな」
 大人になった今は、それは違うとわかる。でも、当時は子供で、本当にそうだと信じた。
 誰か助けて……誰か……誰か……。
 仲良くしていた近所の人は、金融会社の人が訪ねてくるようになってから、私と母を避けるようになった。誰かなんていない。誰にも助けて貰えない。
 絶望で目の前が真っ暗になった私を救ってくれたのは、落ち着いていて、凜とした低い声だった。
「そんな法律はない」
 顔を上げると、そこにはスーツを着た品のいい男性が立っていた。父より年上で、祖父よりは年下──年齢的には五十前後だ。
「それから、未成年が風俗店で働くことは、法律で禁止されている。例外などない」
「は?」
「間違えた法律を未成年に教えるのは、やめなさい。それともキミたちも間違えて覚えているのかな?」
 背はそんなに高くないし、体型も大柄じゃない。でも、毅然とした佇まいや喋り方で、とても大きい存在感がある。
「なんだ、テメェ! 部外者は引っ込んでろ!」
「おっさん、痛い目に遭いたくなけりゃ、さっさと行きな」
 嫌! 行かないで!
「……っ」
 声が出ない私は、目で必死に訴える。
 ドスの利いた声と鋭い表情を受けても、男性は少しも怯む様子は見せなかった。
「私は弁護士だ。目の前の犯罪行為を見逃すわけにいかない」
 弁護士……?
「めんどくせぇな……いったん引くぞ」
 二人は舌打ちをして去っていった。掴まれた手を離されても、膝が震えて立てない。涙が次から次へと溢れて、助けて貰ったにも拘わらず、お礼を口にすることすらできなかった。
 秋までは普通の生活だったのに、どうしてこんなことになるの? どうして、こんな目に遭うの? 私とお母さんが、何をしたっていうの!?
「怖い思いをしたね。もう、大丈夫だ」
 優しそうな顔立ちをしていた。
 さっきまでは、すごく怖そうな顔をしていたのに……ああ、そうか。表情が違うんだ。表情一つでこんなにも印象が違うなんて驚きだ。
「すみませ……ありがとう、ございます」
 男性に支えられ、ようやく立ち上がることができた。
「とても困っているようだね。お家に借金があるのかな?」
 事情を話したら、助けてくれる?
 すがりたくなった。誰でもいい。この状況から助けて欲しい。

『向日葵、家の事情を他人に話しちゃダメよ。これはとても恥ずかしいことなんだから』

 母に言われたことを思い出し、開きかけた口を閉じた。
「色々と事情があるようだね。……ああ、ハンカチはさっき使ってしまったんだ。ティッシュですまないね。でも、柔らかいやつだから」
「ありがとう……ございます」
 ティッシュで涙を拭く私に、男性は一枚の名刺を差し出した。
「それからこれを」
「え?」
「困ったことがあれば、ここに連絡をしてくれたらいい。きっと力になれると思うよ」
 名刺には、『加賀美法律事務所 弁護士 加賀美直人』と書かれていた。
「お嬢さん、世の中にはどうしようもないことが、確かにある。でも、法律でどうにかなることもあるんだ」
 法律……。
「さあ、すぐ家に入った方がいい。ここはお嬢さんの家かな?」
「はい……」
「戸締りをして、さっきの男たちが来たら警察を呼びなさい。先ほども言ったが、未成年を風俗店で働かせようとする行為は犯罪だ。必ずキミを守ってくれる」
「警察……大ごとになるのは、その……」
「誰でもそうだ。でも、その考えに付け入る輩もいることを忘れないで欲しい。大ごとにならなくとも、キミの人生が台無しになっては大変だ」
 そうだ。この人が助けてくれなかったら、今頃私はどうなっていたかわからない。
「ああ、そうだ! お嬢さん、この近くに『スイーツクイーン』という有名なケーキ屋さんがあると聞いたんだが、どの辺にあるか教えて貰えないかな? 実はそこに行こうとしていてね」
「それなら、駅を挟んで家とは逆方向です」
「えっ……ああ、また、やってしまった。私は方向音痴でね……いやぁ、息子が甘党なものだから、食べさせてやりたくて」
 息子さんがいるんだ。
「スイーツクイーンのケーキは、本当に美味しいので、きっと喜ぶと思います。ショートケーキとシュークリームが人気ですよ」
「ありがとう。じゃあ、それを買っていこう。さあ、家に入りなさい」
「はい、ありがとうございます。……えっと、息子さんを大切にしてくださいね」
「……ああ、そうだね。大切にするよ」
 家の中に入って、しっかりと鍵をかけた。
 いいな……。
 あの弁護士さんの息子さんには、ケーキを買って帰ってきてくれるお父さんがいるんだ。
 羨ましさのあまり胸が苦しくなって、また涙が出てくる。
 こんな気持ちを抱くこと自体情けなくて、自分が汚く思えて、さらに胸が苦しくなった。

おすすめの関連本・電子書籍
電子書籍の閲覧方法をお選びいただけます
ブラウザビューアで読む

ブラウザ上ですぐに電子書籍をお読みいただけます。ビューアアプリのインストールは必要ありません。

  • 【通信環境】オンライン
  • 【アプリ】必要なし

※ページ遷移するごとに通信が発生します。ご利用の端末のご契約内容をご確認ください。 通信状況がよくない環境では、閲覧が困難な場合があります。予めご了承ください。

ビューアアプリ「book-in-the-box」で読む

アプリに電子書籍をダウンロードすれば、いつでもどこでもお読みいただけます。

  • 【通信環境】オフライン OK
  • 【アプリ】必要

※ビューアアプリ「book-in-the-box」はMacOS非対応です。 MacOSをお使いの方は、アプリでの閲覧はできません。 ※閲覧については推奨環境をご確認ください。

「book-in-the-box」ダウンロードサイト
一覧 電子書籍ランキング 一覧

ジャンル・シチュエーション検索

 

ジャンル

キャラ属性

シチュエーション